米ABCニュースがヤフーと提携

米地上波ネットワークテレビABCネットワークの報道部門ABCニュースと米インターネット検索大手ヤフーがインターネット・ニュース分野で提携していくことになった。103日放送されたABCの朝の人気情報番組『グッドモーニング・アメリカ(GMA)』の中で、同ネットワークの様々な報道番組のキャスターなどが勢ぞろいして発表した。ネット検索の中で圧倒的な人気のあるヤフーのおかげでヤフー・ニュースの月間ユニーク・ビジター数は8000万件。CNNMSNBCなどを押さえニュース・サイト人気ナンバーワンの座についている。ABCの同20002500万件を合わせ、両社の新ネット・ニュースに毎月合計1億人以上が訪れるとされている。

 

ABCニュースのベン・シャーウッド社長は、「同提携のもと、他報道機関が及ばない数のオンライン視聴者と結ばれることになる。ABCニュースにとって大変革をもたらすことになる」と述べれば、ヤフーの幹部、ロス・レビンソン氏は、「ABCニュースとのコラボレーションで、ヤフー・ニュースの内容が格段に充実し、ネット・ニュース・ナンバーワンの地位を強化することができる」とコメントした。


同提携のもと、ABCニュースがヤフー・ニュースの主なニュース源となり、ヤフー本体も含めた関連サイトのホームページにもABCニュースが取り込まれることになる。特に動画ニュースが充実されることになり、GMAのウェブ版、GoodMorningAmerica.comが新設されたほか、「Newsmakers」や「This Could Be Big」などといった特別コーナーも開設された。それぞれのコーナーでは、ネット向けのオリジナル番組が登場するが、3日にはGMAのメイン・キャスター、ジョージ・ステファノポロス氏によるオバマ米大統領との単独インタビューが放送に先駆け「Newsmakers」のコーナーでネット中継された。

 

ヤフー・ニュースはアクセス数では抜群の人気を誇るものの、独自取材などはしておらず、プレステージに欠ける側面があった。今回、ABCの世界的な取材力とネットワークテレビ・ニュースというブランド名を得ることで、一気にグレードアップを図りたいところだ。一方、ABC側は、ヤフーのネット上での認知度をテコにネット上の存在感を拡大したい考えだ。ニュースに双方向性をもたらすことが出来るほか、新たな視聴者の開拓にも期待を寄せている。また、ABCのレポーターやキャスターからは、「日の目を見ることの出来ない素材を発表できるあらたなプラットフォームが得られる」などと歓迎ムードが広がっている模様だ。

 

両社はビッグイベントなどの共同制作も手がけるほか、ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス支局では、両社スタッフ間の連携が強化される予定だ。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>