米TV新シーズン、コメディーが健闘

9月中旬から始まった米ネットワークテレビ界の新シーズン。今年は各ネットワークが各新番組に平均1000万㌦の番組宣伝費(ニューヨーク・タイムズ紙)を投入するほど力の入った新編成を披露した。全体を見るとコメディー番組が好調なスターとを切った一方で、リアリティー番組の不振が目立つほか、広告主が重視する午後10時台に編成されている重量級のドラマ番組が精彩を欠いている。

 

ドラマでは、番組の準備期間に映画作品並みの2年間が費やされ、926日に2時間の特別枠で放送されたプレミアだけでも制作費が1600万㌦(Adweek誌)と、今シーズン最も高額予算が投入されたFoxネットワークの冒険ドラマ『Terra Nova(テラ・ノバ)』が注目された。しかし、初回は広告主が重視する1849歳層の視聴率が3.0%(世帯視聴者数900万人)と期待はずれの結果だった。

 

その他、CBSネットワークの人気アクション・ドラマとなっている『Hawaii Five-O(ハワイ・ファイブ・オー)』の新シリーズの視聴率が昨シーズン初日比13%減少。また、ここ数年プライムタイム・ドラマ番組のヒット作にめぐまれないNBCネットワークが鳴り物入りで登場させた60年代を舞台にした『Playboy Club(プレイボーイ・クラブ)』は、第1回目の視聴率1.6%1849歳層)(世帯視聴者数が500万人)につづき、第2回目の視聴率はさらに19%減少となる1.3%(世帯視聴者数:380万人)と低迷したこを受けて早くも打ち切られてしまった。過酷な視聴率競争が繰り広げられる新シーズン初の犠牲者になった。NBCはこの番組以外にも新コメディー番組「Free Agents」が振るわずキャンセルを決定、序盤戦から大きなつまずきを見せている。


リアリティー番組では、英国で大ヒット番組となったオーディション番組『Xファクター』(Foxネットワーク)が前評判も高く、同番組の30CM40万㌦とプライムタイム番組の中でもトップクラスの値がついたものの、初回の視聴率は4.2%1849歳層)に留まった。2000万人が期待されていた世帯視聴者数も1250万人とネットワーク関係者を裏切るかたちとなった。


一方、大健闘しているのがコメディー番組。主役の一人が制作者との不仲が元で降板し、新しい俳優に差し替えられた『Two and a Half Men』(写真)がいきなり世帯視聴者数2900万人を獲得しCBSネットワークにとってうれしい誤算となった。そのほか、Foxの新番組『New Girl』のプレミア版が視聴率4.8%1849歳層)を獲得、同ネットワークのコメディー番組初回としてこれまでの最高記録を樹立。また、今年3年目にして早くもABCネットワークの看板番組になっている『Modern Family の初回(921日)は同ネットワークにとって6年ぶりとなる各社横並びトップの成績を収めた。

<テレビ朝日アメリカ 北清>