米モバイル広告、10億㌦突破へ

急増するスマートフォン(多機能携帯電話)人気などにつられる形で、米国内の情報端末向け広告(モバイル広告)の売上高が今年初めて10億㌦台を突破することになりそうだ。 米インターネット市場調査会社eMarketer (イーマケッター)がこのほど発表したもので、今年4月時点では10億㌦台にせまるとしていた予測を、今回は123000万㌦と大幅に上方修正した。2010年のモバイル広告売上高が74300万㌦だったことを考えれば、1年で倍増近い成長を示すことになる。同社では、今後も上昇カーブを描き続けると見ており、15年には44億㌦規模の広告市場に拡大すると見込んでいる。

モバイル広告支出拡大の背景には、スマートフォンやタブレット型情報端末の急速な普及があるが、広告主がモバイルの媒体価値に自信を深めたことが大きいようだ。「スマートフォン保有者全体の38%が少なくとも一月に一回は同機器を使ってインターネットにアクセスしている」(eMarketer)などとする具体的なデータが挙がって来たことも広告主にとって好材料となっている。

モバイル広告内容を見ると、広告主に最も人気のあるのが、「メッセージ広告」、これに「バナー広告」、「検索広告」と続いているが、画面が小さいこともあってテレビCM型のビデオ広告の採用にはいまのところ消極的なようだ。11年のモバイル広告の内訳は、メッセージ広告が全体の36.1%、バナー広告が30.7%、検索広告28.5%、ビデオ広告が4.7%となっている。しかし、15年には、検索広告が40.2%と急増し、バナー広告は36.4%とメッセージ広告14.4%を追い抜くことになるという。そして、ビデオ広告がほぼ倍増となる9%を占めるまでに躍進する見通しだ。

米国では成人全体の83%が携帯電話を保有している(米調査会社Pew Internet&American Life Project)といわれているが、そのうちの42%がスマートフォン利用者。年収75000㌦以上の高額所得者では59%が、大学卒の48%がスマートフォンを使っていることも分かった。またスマートフォンの利用方法については、保有者の87%がインターネットへのアクセスと電子メールの送受信に使っているほか、27%がインターネットへのアクセスはパソコンではなくスマートフォンを利用していることも明らかになった。 <テレビ朝日アメリカ 北清>