YouTubeが独自番組100CH

人気動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」はこのほど、オリジナル番組を放送する100にも上る新しいチャンネルを開設すると発表した。「これまで試みられたインターネット上の独自制作番組編成の中でも突出した、かつ大胆な試み」(米広告代理店大手ユニバーサル・マッキャン)、「オリジナル番組編成に進出する大胆な動きに出た」(AP通信)などと、米メディア業界に大きな波紋を投げかけている。


 

 

100チャンネルの中身は、ポップカルチャー(大衆文化)、エンタテイメント、スポーツ、ミュージック、健康、アフリカ系やヒスパニック系アメリカ人向け専門チャンネルなどに細分化される。すでに歌手のマドンナ、俳優・コメディアンのアシュトン・クッチャー、若者に人気のラッパー、Jay-Zさんらがすでにチャンネル開設に参加する意思を示しているという。ユニバーサル・マッキャンの専務デイビッド・コーエン氏によれば、米国で人気が高まっているニッチな番組編成傾向に乗じるものになるという。

 

ユーチューブでは、毎日25時間相当のオリジナル番組を配信したい考えで、本格的なサービス開始は来年半ばを目指しているという。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、ユーチューブはすでに制作会社などに1億㌦を超える前払い金を払っているという。ユーチューブでは2年間で回収できると見込んでいる模様だ。すべてのチャンネルを無料で提供。テレビCM型の広告が挿入され、ハリウッドでは破格とされる広告収入の55%がコンテンツ提供者に分配されるという情報もある。これらの番組は18ヶ月間はユーチューブ独占放送となるが、3年後には制作者に著作権を全面返還するという。


ユーチューブの親会社グーグルは発表文の中で、「プロ級の番組をオンライン上に提供し、ユーチューブを次世代のビデオ・プロバイダー(番組供給者)に進化させたい」と述べている。グーグルは同日、インターネット接続型テレビ向けのソフトウェア「Google TV」の改訂版も同時に発表しており、ネット上の番組配信サービス市場にますます大きな存在感を示して行くことになりそうだ。


グーグル側は、「テレビ事業の代替サービスではなく、補完的なサービスを目指している」としているが、ネットワークテレビやケーブル局経営者の間には危機感を抱いている向きもあるようだ。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>