米TV新シーズン、アメフト・パワーが爆発

「全米プロフットボール・リーグ(NFL)主催のアメフト試合中継番組、向かうところ敵なし」。米TV新シーズン(2011-12年シーズン)が始まって1ヶ月半あまりがたった今、ネットワークテレビ各社が繰り広げる熾烈な視聴者獲得合戦で明確になった結論だ。NFL番組は、4大ネットワークが放送した最も視聴率の高かった15番組のうち、なんと13番組を占める人気ぶりだ。

 

ちなみに、NFL番組に打ち勝った2番組の内訳は、CBSネットワークが放送するコメディー番組「Two and a Half Men(平均視聴者数2870万人)と、Foxネットワークが放送した大リーグ・ワールド・シリーズの最終戦(第7戦)(世帯視聴者数2540万人)。


NBCは一連のプライムタイム番組が不振の中で、同社が日曜日夜プライムタイム枠で放送するNFL番組「サンデー・ナイト・フットボール」は、これまで平均世帯視聴者数2200万人を獲得、広告主が重要視する若者層(1848歳層)の平均視聴率も9.1%と昨年同期比5%増を記録するなど、同ネットワークの屋台骨的な人気番組になっている。


NFL番組人気はプライムタイムで放送された番組ばかりではない。週末の午後帯にはFoxCBSネットワークがNFL中継を編成しているが、ベスト15入りした13番組のうち、Fox5試合)、CBS3試合)と8試合を占めるほどの勢いだ。放送時間帯が夜であろうと昼間であろうと、NFL番組に米視聴者が釘付けになっている証拠だ。


視聴率好調なNFL番組は各ネットワークにとって貴重なCM収入をもたらす重要な番組になっていることは言うまでもない。広告業界誌「Adweek(アドウィーク)」によれば、「サンデー・ナイト・フットボール」の30CMは昨年比24%増となる50万㌦にも達しており、NBCにとって生命線ともいえる存在になっている。


また、NFL番組を放送するネットワークにとって、さらなる朗報が飛び込んできた。アドウィークが世論調査会社「ハリス」に委託して実施した調査によると、「アメフトの視聴者はほとんどが男性」という通説に変化が生じている。同調査によれば、「NFL番組を見たことがある」と答えた女性は55%と過半数を超えた。「番組人気が多様な層にも浸透している」(同調査)ことになり、NFL人気が衰える傾向は見当たらないのが現状だ。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>