米メディア企業、7-9月期決算 (2)

米ネットークテレビやケーブル局を傘下に置く米メディア企業の79月期決算が続々発表され、いずれの社も好調さをアピールしている(第1部、1111日号既報)。ABCネットワークテレビ、ESPNやディズニー・チャンネルなどのケーブル局、さらにはディズニー・ランドなどのテーマパークを運営するウォルト・ディズニーの同期売上高は昨年同期比7%増となる約104億㌦を記録した。純利益も特にテーマパーク部門やケーブルテレビ事業が好調だったことが要因となり、市場の予測を上回る108700万㌦(同約30%増)を計上した。

 

テレビ事業を見ると、プライムタイム番組の視聴率改善を受けて広告収入が増えたことと番組制作費の削減などが功を奏したかたちとなったネットワークテレビ部門、さらにはスポーツ専門局ESPNなどが健闘したことで、売上高は昨年同期比9%増となる約48億㌦。純利益は同20%増となる約15億㌦を記録した。

 

一方、CBSネットワークテレビなどを傘下に置くCBSコーポレーションを見ると、テレビ部門の売上高は広告収入が前年同期横ばいとなる20億㌦だったが、インターネット向け番組販売や国際市場への番組販売が好調だったことから売上高は前年同期比2%増約34億㌦だった。純利益はケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者からの再送信料収入、さらには番組制作費の削減などが効いて、同38%増となる33800万㌦となった。同社のCEO(最高経営責任者)レスリー・ムンベス氏は投資家との電話会議の中で好調だったネットや海外市場への番組販売を念頭に、「CBSはマルチ・プラットフォームに対応できるコンテンツ提供事業者へ生まれ変わりつつある」と強調した。

 

また、若者に絶対的に人気のあるMTVやコメディー・セントラル、さらには子供向け専門局の老舗ニコロデオンなどを擁するケーブル局部門、そして映画部門(パラマウント)などを配下に置くバイアコムは、両部門が好成績を収めたことで、売上高は前年同期比22%増となる41億㌦。純利益は同33.2%61400万㌦と大幅な増収増益を記録した。


特に映画事業の売上高は「トランスフォーマー・ダークサイド・ムーン」が大ヒットしたおかげで同46%増約18億㌦と大幅な増収となったほか、ケーブルテレビ部門も広告収入が好調で売上高は同7.7%増となる約23億㌦を計上した。ただバイアコムCEOのフィリップ・ダウマン氏は、「米テレビ業界の広告収入は第4四半期には減少するだろう」と述べ、3期続いた増収増益傾向が年末にかけ一休みするとの見通しを示している。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>