【Trivia】道端の煙突

写真:柏木茂志
写真:柏木茂志

ニューヨークの冬の風物詩ともいえるこの光景。街を歩いているとよく遭遇する光景です。

 

そこでTrivia

この白い煙は一体何?

答えは、、、

マンハッタンの地下に網の目のようにめぐっているスチームパイプからもれ出ている蒸気です。

 

古い建物が昔ながらの風貌を残し街行く人を魅了するニューヨークですが、こういった建物に暖房用のスチームを供給するパイプも相当古いものを使い続けています。実はこうしたスチーム・パイプが錆などがもとで破裂するケースが多々ありますが、蒸気が路上に溢れている箇所は、そのパイプを修理している作業現場なのです。パイプの破裂は夏にもありますが、暖房用にスチームが使われる冬に集中しているようです。

 アメリカにきた当初驚きましたが、こちらでは冬の暖房に熱い蒸気が使われているところが多いのです。日本人にとってスチーム暖房は馴染まないかもしれませんが、古いアパートなどには写真(右)のようなスチーム式の暖房機が各部屋ごとにあります。スチームが巡回し始めると、蒸気機関車が蒸気を放つ時にだす音に似た『プシュー』という小さな音が聞こえます。パイプがとても熱くなり、間違ってさわってしまうと火傷を負ってしまうこともあります。

 

ところでこのスチーム暖房の誕生には、電気を発明したことで有名なトーマス・エジソンが深く関わっているそうです。ニューヨークなどで電気やガスを供給する電力会社最大手といえばConsolidated Edison社(コンソリデイティッド・エジソン)ですが、同社はスチームも提供しています。同社ウェブサイトによると、蒸気機関に画期的な改良を加えたことで知られるジェームズ・ワットにエジソンが加わり、スチームを使った住居やビルの暖房システムを考案したのが始まりだとされています。1881年、最初のスチーム工場がマンハッタン南端部に建てられましたが、約70メートルの煙突と48個のボイラーが建設され、当時科学的にも画期的なこととして、米専門誌などに大きく取り上げられたようです。

 

ちなみに、スチーム供給会社が設立さたのが1877年のこと。それから5年の間に彼らが携わった蒸気関連の発明で50以上の特許を取得したそうです。ニューヨーク市に本格的なスチーム・パイプ網が完成したのは1924年。ガスと違い、有害物質が出ずコストが低いスチームは大好評。以来、市民に冬の暖房を提供し続けてきました。

 

ただ、パイプが古くなれば様々な不具合が出てくるのは当たり前。蒸気による爆発などで大きな事故につながることもめずらしくありません。20077月には、マンハッタン中央にあるグランドセントラル駅付近の地下でスチーム・パイプが破裂。路上の車が吹き飛ばされほどの勢いの蒸気が噴出し、2人が死亡する事故がありました。街中でスチームが吹き出ているのを見ても、あまり近寄らない方がいいかもしれませんね。

 

ということで、ニューヨークの道路から上がっている煙は、スチーム・パイプから吹き出ている蒸気であることを皆さんはご存知でしたか?

 

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