米TV業界、12年広告収入を楽観視

世界有数の金融グループUBS12月初旬、ニューヨークで来年の動向など占うメディア会議を開催した。同会議に出席した米メディア企業のトップからは、新年の広告収入について相次いで楽観的な発言が飛び出した。地上波ネットワークテレビCBSなどを傘下に置くCBSコーポレーションの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏(写真・左)は、ネットワークテレビの状況について、「ここ数年の中でも極めて好調な状態」と説明。東日本大震災で大きな被害を蒙った日本の自動車メーカーが復調の兆しを見せているとの見方を示しながら、「来年(12)CBSにとって最良の年になる見込みだ」と強い自信を示している。

 

同社の市場調査部門責任者ディビッド・ポルトラック氏によれば、12年の広告売上高は7.3%増になる見通しだ。米国では大統領選挙が実施されることと、五輪ロンドン大会が開催されることも大きなプラス要因になるという。


また、TNTTBSさらにはCNNなど有力ケーブル局を傘下に置くタイム・ワーナーのCEOジェフ・ビューケス氏(写真・右)は、111012月期について、「世界経済が厳しい情勢に直面しているため広告主がCM出稿を控えたことが響き、広告収入に陰りが見えている」としたものの、「1213月期は明るい見通しが開けている」と、来年は素早いリカバリーをもとに好調な幕開けになることを予測した。その背景には、11月末の感謝祭を皮切りに、年末商戦がネット通販も含め順調な滑り出しを示したことが大きいようだ。これを受け、広告主によるCM出稿が再び活発化すると見ている。

 

ビューケス氏はまた、広告市場に加え、特にインターネット配信サービスへの番組供給が好調に推移していることを挙げた。放送外収入に大きな期待を寄せていることを明らかにしたものだが、DVDレンタル大手Netflix(ネットフリックス)や動画配信サイト「Hulu(フールー)」が始めた有料インターネット動画配信サービスなどに触れ、「これらのサービスに対するコンテンツ供給が我々の番組に付加価値をつけることは明白だ」と強調している。

 

ところで同会議には業界アナリストらも出席、「主要国の経済は、相変わらず先行き懸念が払拭できない状況が続いているが、2012年における世界のテレビ局へのCM出稿は好調に推移する」とする見解を発表した。

 

広告代理店大手「インターパブリック」傘下の調査会社「マグナグローブ」社専務のビンセント・レタン氏は、1110月の時点で12年世界の総広告費を前年比6.5%増と予測していたが、今回は5%増4490億㌦と下方修正したが、その一方で、テレビCM支出額については、11年比6.7%増と予測するなど、テレビの強さが目立つ格好となっている。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>