米テレビ界最大のイベントであるNFL(米プロフットボール・リーグ)王者決定戦「スーパーボウル」がインターネット上で生中継されることになった。NFLと全国向け独占放送に当たるNBCネットワークが昨年末に発表したもので、スーパーボウル史上初めてのこと。「テレビ界はもとより米スポーツ界最大イベントでもある同試合がネット上で同時に生放送されることの意義は大きい」などと話題を呼んでいる。米視聴者の間で人気急上昇中の動画配信サービスにさらなる拍車がかかるきっかけにもなりそうだ。
動画中継はNBCとNFLのホームページ経由で配信されるほか、米通信大手ベライゾンが携帯電話サービス向けに提供しているNFLパッケージ(有料)加入者にも配信され、居間を離れ屋外などでも試合観戦することができるという。NFLのメディア戦略・開発担当上級副社長ハンス・ショローダー氏はAP通信に、「試合途中に用事を思い出し外出しなければならない人も、試合観戦を続けることができる。テレビの前に座っている視聴者以外の新たな視聴者の開拓も可能になる」と述べ、スーパーボウル初の動画中継に期待を寄せている。
NBCではすでに、同ネットワークの人気ナンバーワン番組となっているNFL試合中継番組「サンデー・ナイト・フットボール」を動画中継しているが、毎回放送版の平均視聴者数の1割以上に相当する20-30万人が利用するなど人気を博していること。動画中継が放送版の視聴率に悪影響を与えていないことなどから、スーパーボウルの動画中継に踏み切ったようだ。
動画中継にはインターネットの双方向性が生かされ、ユーザーが選択できるカメラ・アングルが用意されるほか、選手のデータや過去の成績などを引き出すことが出来るという。また、別格な人気のスーパーボウルCMをオンデマンド形式で視聴することも可能となる。そのため、テレビを見ながら動画放送を利用する視聴者も少なくないと見込まれている。NBCとNFLでは実際の利用者数、さらにはどのように利用されるのか、などの点について詳しくデータを分析する予定。隠れたスーパーボウル視聴者数(スーパーボウルを見たかったがテレビの前にいられなかった)の実態なども浮き彫りになるとしている。
なお、同動画中継にはテレビ放送とは異なったCMが挿入される予定で、NBCにとって新たな広告収入源になる可能性も秘められている。同CM価格などは公表されていない。ちなみに、インディアナ州の州都インディアナポリスで2月5日に開催される試合中に放送される30秒CMは平均300万㌦で取引されている模様だ。
<テレビ朝日アメリカ 北清>