2012年はタブレット端末躍進の年

アップル社製のiPad(アイパッド)に代表されるタブレット型多機能携帯端末(以下、タブレット)が2012年に急速に普及する見込みだ。米投資銀行大手JPモルガンがこのほど発表したところによると、12年における世界のタブレット出荷台数は前年比一気に55.2%増となる9930万台となる見込みだ。同社では当初、70008000万台と推定しており、大幅な上方修正となる。13年には13260万台に達する勢いだという。

 

タブレット人気の背景には米インターネット通販最大手アマゾンが昨年暮れに発売した「キンドル・ファイア」の予想外の人気があるようだ。キンドル・ファイアはアイパッドの価格の半分以下に相当する199㌦という手ごろな価格で人気沸騰。昨年すでに、世界市場における販売台数は500万台に達した。12年の販売台数は一挙に2000万台に達する勢いだというアイパッドとキンドル・ファイアに加え、今年第2四半期中にはマイクロソフト社がオペレーション・システム(OS)ウィンドウズ8を搭載したタブレットを発売する予定で、タブレット市場はますます活況を呈することになりそうだ。

 

ところで、タブレットはスマートファン(多機能携帯電話)などに比べ画面が大きく画質も優れていることからテレビ番組などの動画視聴に最適とされている。これを受けて米国ではコムキャストやタイムワーナー・ケーブルなど大手ケーブルテレビ(CATV)事業者が揃ってタブレットを使ったテレビ視聴が出来るアプリケーションを開発。加入者の離反を防ぐ新サービスとしても脚光を浴びている。


番組供給事業者(コンテンツ・プロバイダー)も新たな視聴者の獲得につながるとして、タブレット向けに積極的に番組を提供する傾向が高まっている。特にケーブル局の中には、CATV事業者によるタブレット向サイマル放送を容認する姿勢が鮮明になっているのが特徴だ。このため、タブレットを2台目のテレビ代わりに利用する視聴者が急増している模様だ。


ヨーロッパではタブレット所有者の39%がテレビの代わりにタブレットを使ってテレビを見る(英調査会社TNS)と答えたほか、40%の人がタブレットを使って番組をリアルタイムで見ると答えていて、タブレットがテレビ受像機にとってかわるような勢いだという。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>