ネット広告費が新聞・雑誌広告を凌駕する

米インターネット広告が初めて新聞・雑誌広告を追い抜くことになった。米調査会社eMarketer(イーマーケッタ)によれば、2012年のネット広告費は前年比23.3%増となる395億㌦に達し、新聞(194億㌦)と雑誌(154億㌦)の合計広告費338億㌦を超える見込みだ。11年は新聞・雑誌広告が360億㌦とネット広告320億㌦を上回っていた。

 

同社によると、インターネット広告は12年以降も増大し、減少傾向を辿る紙媒体の広告費との差が拡大の一途を辿りそうな勢いだ。ちなみに、13年のネット広告費は465億㌦、14年が528億㌦、15年が575億㌦、16年には620億㌦と上昇カーブを描くのに対し、新聞・雑誌のほうは、13年が338億㌦、14331億㌦、15326億㌦、16323億㌦とわずかながらも年毎に減って行くと予測している。(新聞・雑誌広告費には両媒体が展開するインターネット・サイトから得るデジタル広告費は含まれていない)


イーマーケッタの主任アナリストは発表に当たって、「広告主の間で、インターネット広告を取り込んだ“統合的マーケティング”に対する安心感がこれまでになく広がっている。そのため、今後も大型ブランド商品を含めネット広告を活用する動きが広がっていくだろう」と分析している。


ところで、全媒体の中で最大の広告費を誇るテレビについては、12年が648億㌦。その後も微増を続け16年には急拡大を続けるネット広告費(620億㌦)に100億㌦の差をつける720億㌦に達すると見ている。


一方、動画配信の急速な普及につれ、テレビCM型のオンライン・ビデオ広告も躍進する兆候を示している。米調査会社comScore(コムスコア)によれば、1112月に米消費者が見たオンライン・ビデオ広告は71億件。別な調査会社Forrester(フォレスタ)は、11年には20億㌦だったオンライン・ビデオ広告費が16年までには“爆発的”な拡大をとげ54億㌦に達すると見ている。


ちなみに、12年の総広告費についてイーマーケッタでは、大統領選挙やオリンピック開催年であることから前年比6.7%増となる1695億㌦に達すると見込んでいる。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>