CES2012、影響力に疑問の声も

世界最大の家電見本市、国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が210日から4日間に渡り、米ラスベガスで開催された。今年初登場となった機器などはなかったが、テレビ製品を見ると、画面をより大きく、より薄く、そしてより高画質にしたものが注目を集めた。日本と韓国メーカーが激しいつばぜり合いを演じ、サムスンとLGが高画質を楽しめる有機LEテレビで世界最大級の55インチ型を発表すれば、ソニーは自社液晶テレビに比べ3倍以上も画質が優れるとされる発光ダイオード(LED)を使った試作機を発表するといった具合だ。また大型テレビで圧倒的なシェアを誇るシャープは80インチ型液晶テレビを今年4月に米国で発売すると発表した。

 

一方、新型テレビの多くが米国ではスマートテレビなどと呼ばれるインターネット接続対応型になっていることも特徴だ。テレビ番組などのインターネット配信人気が急上昇中の米国市場をにらんだもの。2010年にデビューした3D(立体)テレビにかわって、「12年はスマートテレビが本格普及する年になる」などと期待を寄せる向きもあるようだ。スマートテレビの中には、リモコン代わりに人間の声に反応してウェブサイトやeメールの操作を可能にする多機能型テレビも現れた。

 

テレビ以外では、アップル社のタブレット型多機能携帯端末iPad(アイパッド)人気に乗じるかたちで、各社が発表したタブレット端末も目玉商品の一つになった。

 

ところで、CESについて米国内では、同展示会で発表される製品が実際に市場で大ヒット商品になるケースが少ないことを挙げ、その開催意義を問う声も上がっている。09年に目玉製品の一つとして発表されたネットブックが期待はずれに終わったことや、10年に発表された3Dテレビが消費者の心をつかみ切れなかったことなどを挙げる一方、CESには出品されなかったアップル社のスマートフォン(多機能携帯電話)iPhone(アイフォン)やアイパッドが大ヒット商品になっていることなどが指摘されている。


アップル社に加え、来年からはマイクロソフト社がCESへの出展を見合わせ独自の発表会を開催することを決めており、「IT産業界の2巨人が参加しない見本市にどれほどの価値があるのだろうか」、などとCESの影響力を疑問視する声も上がっている。ただ、「CESに出展された製品がヒット作にならなくても、家電製品市場の動向を占う重要な役割を果たしている」などと、擁護する意見もある。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>