米TV界No.1番組が始まった

今年で放送11年目に突入した米テレビ界の人気ナンバーワン番組「アメリカン・アイドル」の新シリーズが118日始まった。同番組は米地上波ネットワークテレビが放送するシリーズ番組の中で7年連続で視聴率トップの座につく超人気番組。しかし、米調査会社ニールセンの速報によれば、Foxネットワークが放送した初回(午後810時)は、広告主が重要視する1849歳層の視聴率が昨シーズン比27%減少となる7.2%。総世帯視聴者数は同18%減となる2160万人と、先行きが懸念されるスタートとなった。

 

実は今シリーズは苦戦を強いられると予想する声が上がっていた。同番組の人気に触発されるかたちでNBCネットワークの『The Voice』など他社が同様なオーディション番組を放送し始めているほか、Fox自身も昨年9月からアイドルに似た番組『Xファクター』をスタートさせたからだ。類似番組が増え、視聴者がこの種の番組に厭きてきた、などと指摘されている。

 

しかし、初回の視聴率が前年を下回ったとはいえ、同枠で放送された裏番組に大きな差をつける無敵ぶりを発揮しているほか、マンネリ化を指摘された昨シーズも終わってみれば平均視聴者数が2390万人と前年を100万人上回る健闘ぶりを示したこともあり、終局的には同番組の首位の地位が脅かされることはないだろうという見方が支配的だ。

メディア・サイト「メディア・ライフ」が番組開始に先立って同サイト読者を対象に行ったアンケートでは、55.9%が「アメリカン・アイドル」が引き続き個人視聴率(1849歳層)、総世帯視聴者数ともにトップの番組でありつづけるだろうと予想している。これに対し、トップの座が危ういと答えた人は15.3%に留まった。


さらに、アメリカン・アイドルのおかげで、Foxネットワークが今シーズンも1849歳層視聴率競争でトップに立つだろうと答えた人が75%にも上った。ちなみに、1849歳層視聴率が高い番組には高額なCM料金を課すことができることから、同層視聴率は番組の成否を評価する最も重要な指標になっている。同番組の30CM468000㌦~502000㌦で取引された模様。スポーツ中継番組を除けば他プライムタイム番組CM料金の倍以上の値がついており、Foxにとって文字通りドル箱番組となっている。


ところで、同番組は優勝者や準優勝者にポップスターの座が確約されているといわれほどの特異な番組。過去の優勝者ケリー・クラークソンやキャリー・アンダーウッドがプロの歌手としてデビュー、世界で最も権威ある音楽賞ともいわれるグラミー賞を獲得しているほか、アカデミー賞助演女優賞を獲得したジェニファー・ハドソンも同番組第3シリーズの優勝者だった。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>