米動画配信サービス視聴が20億時間超

米郵送DVDレンタル最大手Netflix(ネットフリックス)が展開するテレビ番組や映画のストリーミング(動画配信)サービス人気が止まらない。同社がこのほど発表したところによると、20111012月期における同サービスの視聴時間が20億時間の大台を超えた。


同サービス加入世帯数は約2100万軒。米調査会社BTIGのアナリスト、リチャード・グリーンフィールド氏の試算によれば、加入者の一月当たりの視聴時間は29時間。若者向けケーブル局「FX」や家の改装・ガーデニングを専門とする「HGTV」、さらには歴史専門局「History Network」などの人気チャンネルを上回るばかりか、CNNMSNBCなどのニュース専門局、そしてドキュメンタリー専門局「Discovery Channel」の視聴時間の2倍に相当する人気を集めている。

 

また、世界一の人気を誇る動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」のユーザー1人当たりの視聴時間が7.4時間(月間)、「テレビのようなサイト」の異名を持つ番組配信サイト「Hulu(フールー)」の同3.3時間(米調査会社「comScore:コムスコア」)をも大幅に上回っている。こんな状況を受けグリーンフィールド氏は、「ネットフリックスはもはや15番目のネットワークテレビに位置づけされるほどに成長した」と分析している。グリーンフィール氏はまた、ネットフリックスの隆盛を軽視する声に対し、「同サービスは爆発的な人気を博している。既存のメディア関係者が認める以上のインパクトをテレビ業界などに与え始めている」と警告している。

 

ネットフリックスではオリジナル番組の制作・配信にも乗り出すことにしており、来月(2月)にはノルウェーを舞台にしたギャング物語「リリハンメル」をデビューさせる予定。業界誌「ハリウッド・リポーター」などはネットフリックスがすでに米国最大の加入型エンターテイメント・ビジネスになったと位置づけている。


また、米調査会社「SNLケーガン」によれば、ネットフリックス動画配信サービス加入者がテレビ番組など1時間当たりに支払う額は28セント。ケーブルテレビ(CATV)加入者が払う53セントを大幅に下回っていることから、ネットフリックス人気がさらなる拡大を示せばCATV事業者らにとって加入者の離反につながる脅威にもなりそうだ。

 

ネットフリックスの動画配信サービスの月額加入料は7.99㌦。フールーなど他動画配信ではテレビCM型の広告が挿入されているのに対し、ネットフリックスの場合は全編CM無しの点も利用者の好感を呼んでいる。ネットフリックスは主軸サービスを本来のDVDレンタルから動画配信にシフト中。動画配信の場合は郵送料がかからないことから利幅が大きいのも魅了だ。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>