
新年に入って動画配信向けの新たな動きが米国で顕著になっている。動画配信といえば、放送済みのテレビ番組などがコンテンツの主流というのがこれまでのモデルだったが、独自番組を特定サイト向けに配信する動きが活発化しているからだ。
筆頭に挙げられるのが動画投稿サイト最大手YouTube(ユーチューブ)。同社が開設予定のクッキング・チャンネルのCEO(最高経営責任者)に、料理専門人気チャンネル「Food Network」の編成やそのスピンオフ・チャンネル「Cooking Channel」の立ち上げと運営にあたったブルース・サイデル氏(写真・左)が就任することになり、大きな注目を集めている。同チャンネル制作に当たるマルチメディア制作会社Electus(エレクタス)がこのほど発表した。


ユーチューブでは今年中にポップカルチャー、エンターテイメント、スポーツ、健康などに細分化された100チャンネルにも上る新チャンネルを展開したい考えだ。広告会社大手ユニバーサル・マッキャンのデイビッド・コーエン専務によれば、ユーチューブの戦略は、米国で人気が高まっているニッチな傾向に沿うものになりそうだという。ユーチューブではすでに、エレクタスを含む様々な制作会社に1億㌦を超える制作費を前払いしているという情報もある。
一方、会員2300万人超を抱える米郵送DVDレンタル最大手Netflix(ネットフリックス)では、事業の軸足をコンテンツ宅配から動画配信サービスに移し始めている。そして、同社も独自番組の制作と配信に進出を始めた。手始めに米国内で2月6日、ノルウェーを舞台にしたギャング物語『リリハンメル』をデビューさせた。同番組は、8エピソード(各45分CM無し)からなるミニ・シリーズ。ちなみに同番組はノルウェーのテレビ局「NRK1」ですでに放送され、同国では全国民の5人に一人が視聴するほどの人気を博しているという。また、「テレビのような動画サイト」として知られるHulu(フールー)もオリジナル番組『Battleground』を制作、ネット放送を始めており、米人気動画サイトがそろって自主制作番組配信に着手している。
<テレビ朝日アメリカ 北清>