新スペイン語ネットワークTV誕生へ

世界的なメディア・コングロマリット「ニューズ・コーポレーション」がコロンビアのメディア大手「RNC Television SA」と合弁会社を設立、米国内でスペイン語の地上波ネットワークテレビ「MundoFox(ムンドFox)」を創設することになった。ムンドFoxは総合編成局になるが、特にアクション・ドラマを取り込んだテレノベラ(連続メロドラマ)を看板番組にすえたいとしている。(写真左:放送が予定されているアクション・メロドラマ『Krabra』) 

 

番組のほとんどをRNCやニューズ・コーポレーション傘下の制作会社から調達することにしていて、一日2回放送されるニュース番組はRCNが、スポーツ番組はニューズ・コーポレーション傘下のスペイン語スポーツ局「Fox Deportes」が制作を担当する。


ムンドFoxネットワークの本拠地はロサンゼルスに置かれ、今秋からの放送開始を目指している。主にスペイン語放送をしている全米のローカル局と系列関係を組み、全米テレビ市場の75%到達を目標にしている。米国内にはすでにUnivision(ユニビジョン)をはじめ、Telemundo(テレムンド)など、数多くのスペイン語ネットワークテレビがあるが、ヒスパニック(スペイン語を日常語とするラテン・アメリカ系米国人)人口の増加がめざましく、新たなスペイン語放送が活躍できる余地が残されていると判断した模様。 

 

米国ではスペイン語放送に対する人気がうなぎのぼり。最大手ユニビジョンのプライムタイム視聴率は全ネットワークテレビ中5位にランクされるまでになっている。米調査会社キャンター・メディアによれば、201119月期における地上波ネットワークの広告売上高は前年比2.3%増だったが、スペイン語放送のほうは7.4%増と躍進しており、米広告主がスペイン語放送を重視し始めていることも浮き彫りになっている。別の調査会社SNLケーガンによれば、スペイン語テレビの広告売上高の年平均成長率は2.6%19年末には米テレビ市場の7.4%を占めるまでに拡大するという。


ヒスパニック人口は増加率が高いだけでなく、年齢構成が他グループと比べ極めて若いことも広告主にとって大きな魅力の一つだ。ニールセン社によれば、ヒスパニック系テレビ視聴者の年齢の中心は32歳。他マイノリティー・グループ、アジア系(39歳)、黒人(40歳)などと比べ若さが際立っている。


ちなみに、米国国勢調査局では2010年における全人口に占めるヒスパニック人口を16.3%と発表しているが、2050年までには30%に膨れ上がる可能性があると予測している。 

<テレビ朝日アメリカ 北清