米音楽界で最高の栄誉とされるグラミー賞の受賞式が12日、ロサンゼルスで行われた。同授賞式の模様はCBSネットワークにより全国向けに生中継されたが、平均視聴者数約4000万人を獲得、1984年以来実に四半世紀ぶりの視聴者数を記録した。広告主が重要視する若者層(18-49歳)の視聴率は通常人気番組の倍以上となる14.1%にも達した。
同授賞式は前日に急死した米ポップス界の歌姫、ホイットニー・ヒューストンさんを偲ぶ哀悼式になった感があり、多くのヒューストンさんファンはもとより、授賞式を視聴する予定のなかった一般視聴者もこぞってチャンネルを合わせた結果だ。
ちなみに、グラミー賞授賞式の視聴率は過去数年にわたって低下傾向を辿っていたが、昨年は人気挽回、10年ぶりの視聴率を記録したばかり。その時の視聴者数が2670万人(18-49歳層視聴率10.0%)だったことを考えれば今回の視聴者数が特大級のものであることがわかる。ちなみに、同番組は昨年の高視聴率を受けて30秒CM単価が80万㌦と、これまでの最高記録となっていたが、スポンサーは予想外の視聴率に確かな手答えを感じている模様だ。
同番組視聴者数は昨年のアカデミー賞授賞式が獲得した平均視聴者数3790万人をも超えるもの。米テレビ界ではアカデミー賞がスーパーボウルにつぐ高視聴率番組という順序が不動で、今回の結果は極めて異例。ヒューストン効果が如実に現れたことになる。
なお、同授賞式では英国の女性歌手アデルさんが最新アルバム『21』などが評価され、主要部門となる最優秀アルバム賞、同レコード賞、同楽曲賞など6部門でグラミー賞を獲得する快挙を成し遂げたが、スポットライトはヒューストンさんに譲った格好だ。
ところで、米メディアはヒューストンさんの急逝を一斉に取り上げた。CNNでは12日のプライムタイム枠をすべて哀悼番組に差し替え、午後8-午前1時(14日)の平均視聴者数が217万人にも達した。強敵ニュース専門局Foxニュース・チャンネルの134万人を大幅に上回ったほか、編成内容をほとんど変えなかったMSNBCの65万2000人に大きく水をあけた。また、地上波テレビネットワークをみても、NBCネットワークの報道番組「デートライン」(午後7-9時)が番組内容を急遽ヒューストンさん関連に変更したおかげで、平均視聴者数840万人と09年以来最高の記録となった。ヒューストンさん関連報道は、生まれ故郷ニュージャージ州ニューアークで18日営まれた葬儀まで各局連日1週間に渡り続いた。
<テレビ朝日アメリカ 北清>