米メディア企業10-12月期決算②

全米最大のケーブルテレビ(CATV事業者で米メディア企業大手NBCユニバーサル(NBCU)の経営権を握るコムキャストの20111012月期における純利益は、前年同期比26.4%増となる129000万㌦だった。主力の番組配信サービスが加入者の離反数が増え痛手を負ったが、逆にブロードバンド(高速大容量)通信サービスの契約数が伸び、全体に大きく貢献した。売上高は前年同期比54.7%増となる1504200万㌦を記録した。


NBCUを見ると、傘下の地上波テレビNBCネットワークがプライムタイム番組の不振などで売上高は同3.7%減となる約18億㌦と振るわなかったが、逆にUSAネットワークなどケーブル局群が引き続き好調で同部門の売上高は同5.3%22億㌦を計上した。テーマパーク部門も好調で、NBCU全体の売上高は0.8%の微増となる57億㌦だった。コムキャストでは放送部門と映画部門の一段のてこ入れを明言している。 

 

Foxネットワークやニュース専門局Foxニュース・チャンネル(FNC)などを傘下に置くニューズ・コーポレーションの121012月期における純利益は、前年同期比65%増となる106000万㌦。売上高は同2%増となる898000万㌦となった。視聴率好調のケーブルテレビ局を筆頭とする放送部門やヒット作に恵まれた映画部門が、電話盗聴疑惑にゆれる英国大衆紙の不振ぶりを大きくカバーした結果だ。


ケーブル局を見ると、FXが放送した『アメリカン・ホラー・ストーリー』(ジェシカ・ラング主演)の大ヒットなどで、プライムタイム枠の視聴率が広告主が重視する1849歳層で20%も上昇した。また10年連続視聴率トップの座を守ったニュース専門局Foxニュース・チャンネルの広告収入が順調で、放送部門の営業利益は同20%増となる88200万㌦を計上した。


また、いずれもアカデミー賞候補にノミネートされた『アルビン/歌うシマリス3兄弟』や『ファミリー・ツリー』が大ヒットした映画部門(20世紀Fox)が前年同期の2倍にもなる39300万㌦の営業利益を生み出したこともグループ全体に大きく貢献した。


ニュース専門局CNNや総合編成ケーブル局TNT、さらには有料ケーブル局HBOを含む放送部門、そして映画部門(ワーナー・ブラザース)や雑誌タイムなど出版部門を傘下に置くタイム・ワーナーの同期決算は、純利益が前年同期比0.5%とほぼ横ばいで77300万㌦。売上高は前年同期比4.9%増となる約82億㌦だった。映画部門にならび放送部門が健闘した。


放送部門を見ると、ケーブル局の広告収入や世界市場における配信契約増などで同部門の売上高は同5%増約35億㌦を計上した。大統領選挙を控え選挙CM出稿量が増えたCNNもグループ全体の売上に寄与した。


また、ひとえに「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part 2」の大ヒットに支えられた映画部門の売上高は前年同期比7%39億㌦と絶好調。しかし、ハリー・ポッター・シリーズが終了したことから、今後同社の映画部門は苦しい運営を強いられることになるなどの声も上がっている。 

<テレビ朝日アメリカ 北清