米TV界はリアリティー番組全盛期に

米テレビ番組編成でリアリティー番組の存在感が増している。米有力調査会社SNLケーガンによると若者向けチャンネルMTVの大ヒット番組『Jersey Shore (邦題:マカロニ野郎のニュージャージー・ライフ)』を含め、2011年にケーブル局が放送した全番組中人気トップ10をリアリティー番組がほぼ独占した。2001年には圧倒的にコメディー番組に人気が集中していたが、10年の年月を経て放送内容がすっかり様変わりしたことになる。

 

リアリティー番組とは脚本家や俳優を使わない、主に視聴者参加型の番組。オーディション番組に圧倒的な人気が集まっているが、料理番組やファッション関連の番組なども豊富に揃っている。


リアリティー番組に人気が集まっている背景には様々な要素がありそうだ。視聴者サイドから見れば、コンテスト番組などに投票できるなど、番組との一体感に浸ることができることなどが大きな魅力の一つとなっている。番組供給サイドにとっては、本格的ドラマやコメディー番組などに比べ制作費が格段に安価なことが大きなメリット。番組内に商品を登場させる広告方法“プロダクト・プレースメント”をフルに活用できることも大事な要素だ。

 

そんなことから、AMCのように、ケーブル局を代表するヒット番組『Mad Men(マッド・メン)』(1960年代の米広告業界を描いたドラマ)や『The Walking Dead(ザ・ウォーキング・デッド)』 (ホラー・ドラマ)など、ごく少数の看板番組には相当な制作費を投入しながら、他番組については極力安価な制作費ですむリアリティー番組を採用する米ケーブル局が急増している。

 

リアリティー番組人気はケーブル局だけではない。地上波ネットワークもプライムタイム(午後811時)に様々なリアリティー番組を編成し、いずれも大成功している。代表格はFoxネットワークのオーディション番組『アメリカン・アイドル』で、いまや米テレビ界を代表する人気番組に成長している。そしてABCネットワークが放つ『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』(セレブがプロのダンサーと特訓して社交ダンスなどを競うコンテスト番組)も同ネットワークにとって欠かせないヒット番組になっている。そして、ここ数年ヒット作に恵まれず4大ネットワーク中最下位に甘んじているNBCネットワークもリアリティー番組『Voice(ヴォイス)』のおかげでようやく起死回生の転機が訪れようとしている。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>