NAB2012、ニューメディア展示拡大へ

米放送事業者協会(NAB)が主催する世界最大の放送機器展「NAB2012」が416日から4日間(セミナーは14日から)の日程でネバダ州ラスベガスで開催される。スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット型情報端末などの普及で米消費者のメディア接触方法が急速に様変わりする中、今大会はニューメディア関連の展示が拡大することになりそうだ。

 

具体例の一つに挙げられるのが「StartUp Loft(スタートアップ・ロフト)」と呼ばれるパビリオン新設。20111月以降に発足したテクノロジー関連会社などに絞って紹介される。米メディア業界に何が起こるかを予見できる機会となりそうだ。「SocailNewsDesk」もスタートアップ・ロフトに出展する新会社の一つ。ソーシャル・メディアから送られてくる情報を一括して管理できるプラットフォームをジャーナリスト向けに提案されるという。

また、景気回復の兆しが見えてきたとはいえ、相変わらず厳しい経営を余儀なくされている米放送事業者を念頭に、ビデオ・サーバー、グラフィック・ジェネレーター、スイッチャーなどを一括して制御できるシステムなどが登場。放送運用の徹底的な合理化を図る米メディア企業大手NBCユニバーサルが同システムに注目している模様だ。

 

そして会場では、NABがローカル局に推奨する携帯端末向けデジタル放送「モバイルDTV」関連のセッションなども開かれる予定。日本のワンセグに相当するモバイルDTVが受信できる専用モデルの紹介や、ローカル局にとって新たな放送外収入への道につながるビジネスモデルの検討会なども開催される。

 

さらに、ローカル局ニュース番組の中で重要な役割を占める天気予報に活用できる新テクノロジーも登場する。米国立測候所(NWS)が最近設置したレーダー網から得た情報を各テレビ局などが有効かつ効率よく利用できるようになる新システムや、同情報を低予算でソーシャル・メディア向け配信が出来るソルーションが紹介されるという。

 

また、次世代業務用カメラとして、高精細度(HD)カメラを上回る画質の撮影が可能な4Kカメラも各メーカーが実用モデルを出品、展示場に並ぶことになりそうだ。

NAB2012では、最新鋭の機材やシステムの展示のほか、様々なセミナーや会議が開催される。地上波テレビ・ネットワーク、FoxネットワークとCWネットワークが系列局会議を開催するほか、ABCCBSなども幹部会議を平行して開催する予定。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>