ニューズがスポーツ専門局立ち上げか

世界的なメディア大手「ニューズ・コーポレーション」がスポーツ専門局の立ち上げを検討している。もう一方のメディア大手ウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局「ESPN」が破竹の進撃を示していることに触発された動きだ。高視聴率をもたらしてくれるコンテンツ(番組)の筆頭に挙げられるスポーツが米テレビ界で極めて重要な地位を占めていることを裏付けるものでもある。

 

ニューズ・コーポレーション側は一切「ノーコメント」の構えだが、関係筋によれば、すでにケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者などチャンネル送信サービス、さらにはスポーツチームなどを相手に新チャンネル創設の可能性を探っている模様だ。米経済・金融情報サービス「ブルンバーグ」など米メディアが一斉に報じた。新チャンネルは、傘下の既存チャンネルで視聴率低迷に悩む「Fuel」(格闘技などを放送)や「Speed Channel」(カーレース専門局)などを新局として最スタートさせる案が浮上している模様だ。早ければ今年中に誕生する可能性も指摘されている。

 

ただ、同チャンネル構想に疑問を投げかける声も聞こえる。圧倒的な存在感のESPNには太刀打ちできないという悲観論があるほか、すでにスポーツ専門局が乱立気味だからだ。米メディア企業NBCユニバーサルの経営権を握った大手CATV企業コムキャストが「NBC Sports Network」をスタートさせているほか、CBSコーポレーションが「CBS Sports Network」を立ち上げている。さらにはタイム・ワーナー傘下のケーブル局「TNT」などがNBA(米プロバスケットボール協会)主催の試合や、NCAA(全米大学競技協会)主催のバスケットボール試合など人気競技を放送し、スポーツ番組を前面に押し出す編成方針を打ち出している。

 

その一方で、豊富な資金力を糧に人気スポーツ・イベントの放送権を獲得すれば十分ESPNに対抗できるという意見もある。MLB(米大リーグ)と各テレビ局との独占放送契約が来年に更改期に差し掛かっていることや、絶対的な人気を誇るNFL(米プロフットボール・リーグ)が2014年シーズン以降、ケーブル局を対象に新たな放送契約を模索している動きも取り沙汰されていて、Foxがこれらの放送権を獲得すれば勢力図が一変することも考えられるからだ。

 

ちなみにFoxは、2018年と2022年に開催されるサッカー・ワールドカップの独占放送権をESPNなどを相手に競り勝ち取得している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>