米ネットワークTV広告費が前年割り込み

米調査会社キャンター・メディアはこのほど2011年の米地上波テレビネットワークの広告収入が前年を割り込んだと発表した。5大ネットワーク(ABCCBSFoxNBCCW)全体の広告収入は、712月期に高額なCM料金の課金を可能にしたNFL(米プロフットボール・リーグ)主催の中継番組や米大リーグ・ワールドシリーズ、さらには新リアリティー番組『Xファクター』(Fox)などが放送されたにもかかわらず、前年比2%の減少となった。キャンター・メディアは、「広告媒体の中で圧倒的な強さを誇るテレビにも限界があることを示したものだ」と結果を分析している。

5大ネットワークの中で唯一増収となったのがFoxネットワーク。同年2月に開催されたNFL王者決定戦「スーパーボウル」の中継番組から得た広告収入が大きく物を言い、11年の広告収入は前年比15%増となる517000万㌦に達した。他ネットワークを見ると、同12.9%減と減少率が最も高かったNBCネットワークが42億㌦。これにABC3.9%492000万㌦、CBS3.3%626000万㌦などと続いた。CBSコーポレーションとタイムワーナーが共同出資するミニ・ネットワークCWは同11.6%減となる54230万㌦だった。

 

一方、すこぶる元気なのがスペイン語放送。同ネットワーク最大手Univision(ユニビジョン)の広告収入は218000万㌦と4大ネットワーク(ABCCBSFoxNBC)には及ばないものの、増加率16.7%を記録した。NBCユニバーサル傘下のスペイン語ネットワークTelemundo(テレムンド)も同2.8%増となる91540万㌦に達し、もはやCWを超える勢力になっていることが特筆される。

 

また、シンジケーション・テレビも元気で前年比15.4%増の広告収入を得た。そのほか、ケーブル局も7.7%増と好調だった。テレビ媒体全体に流れ込んだ広告費は前年比2.4%増となった。

 

他媒体を見ると、インターネットが前年比0.4%増にとどまったほか、新聞が同3.7%減、ラジオが0.6%減、雑誌が0.4%減と軒並み前年を割り込んだ。ちなみに屋外広告は6.5%増だった。

 

ャンター・メディアによれば、11年の米総広告費は前年比0.8%減となる1440億㌦だった。

 

広告主を業界別で見るとトップが自動車業界で前年比6.3%増となる131億㌦の広告費を支出し、小売業の同4.0%964000万㌦に大きく水をあけている。企業別では世界最大の一般消費財メーカー、プロクター&ギャンブルが前年比5.4%減だったものの、3117000万㌦と広告主トップの座を守った。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>