Comcast純利益、NBCUが貢献し30%増

米ケーブルテレビ(CATV)事業最大手コムキャストの201213月期の決算報告によれば、昨年1月に経営権を握った米メディア大手NBCユニバーサルの業績拡大が寄与し、純利益は前年同期比30%増となる122400万㌦を記録した。売上高は同9.6%増となる149億㌦だった。

 

しかし、増収増益にもかかわらず、市場にはコムキャストの業績に対し落胆する声が多いようだ。CATV事業の根幹ビジネスであるテレビ番組などの映像送信サービスに暗雲が立ち込めているためだ。同社の発表によると同サービスの解約数は同期37,000件。07年以来20四半期連続で減少が続いている。電話会社が提供するIPテレビに顧客を奪われたことが要因だが、インターネット上のテレビ番組配信普及の影響を指摘する向きもある。一方、ブロードバンド(高速大容量)通信サービスは好調で、同期の新規加入者は439,000軒に上った。


グループ全体にとって明るいニュースとなったのがNBCユニバーサル。ここ数年、視聴率低迷にあえいでいたNBCネットワークに明るい兆しが見えてきたことと、相変わらず元気なケーブル局部門が健闘したおかげだ。NBCユニバーサル単独の売上高は前年同期比18%増となる547000万㌦。主に2月に放送したNFL(米プロフットボール・リーグ)の王者決定戦「スーパーボウル」の中継番組が大きく貢献した。同番組は、平均視聴者数が米テレビ史上最多となる11130万人を獲得したほか、同番組で放送された30CMがこちらも史上最高値となる350万㌦で販売することが出来るなど活況を呈した。

 

ただ、NBCUではスーパーボウルがなくとも、売上高は521000万㌦を獲得したとしている。不振を続けていたNBCネットワークのプライムタイムに、オーディション番組『The Voice(ザ・ボイス)』やミュージカル番組『Smash(スマッシュ)』などといった久方ぶりのヒット作が誕生したおかげだ。放送部門の内訳を見ると、USAネットワークやBravo、さらにはニュース専門局MSNBCなどケーブル局部門の売上高は同5.8%213800万㌦。NBCネットワークやTelemundo (スペイン語放送)などを抱える地上波放送部門の売上高は同37%増となる185100万㌦に達した。

 

放送部門以外にも、『ドクター・スースのローラックス(原題)』などヒット作を放った映画部門(ユニバーサル・ピクチャーズ)の売上高が前年同期比22.3%増となる12億㌦を計上したほか、テーマパーク部門の売上高も同5.7%41200万㌦と順調だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>