FCCが選挙広告内容の公開を命令

米連邦通信委員会(FCC)は427日、全米ローカル局に対し、選挙広告に関する情報公開を義務付ける新規則を承認した。新規則は米行政予算管理局(OMB)で審査されたのち、今年中にも実施される見込みだ。新規則が実施されれば全米トップ50のテレビ市場にある4大ネットワーク系列局は、どの候補がどのくらいのCM枠を購入したかなど、料金を含め詳しい内容をインターネット上に直ちに公開することが義務付けられことになる。小規模な市場などにあるテレビ局は201471日まで猶予が与えられることになるという。

 

FCCのジェナコウスキー委員長は声明の中で、「この種の情報を公開しなければならないことは法律でも決められていることだ」と述べ、今回の新規則が連邦議会の支持を得ていることを強調した。

 

ニューヨークタイムズ紙は427日付けの社説の中で、FCCの新規則を支持。特に最高裁が政治団体に対する企業献金の規制を緩和して以来、大量な資金が候補者などに間接的に流れ込んでいると指摘。情報公開は、どの企業がどのような政治団体や候補にどれほどの金を使っているかを市民に知らせる有効な手段になるとしている。

 

一方、ローカル局や親会社であるメディア企業の大半が、選挙広告の情報公開には反対の立場をとっている。実際のCM料金が知れ渡れば、一般広告主との価格設定交渉が難しくなることを恐れているからだ。放送事業者を代表するロビー団体全米放送事業者協会(NAB)は早速声明を発表、「テレビ局に選挙広告内容の公開を強制すれば、テレビ局の競争性が失われることになる。(FCCの)決定には失望した」と不快感をアピールした。NABは法的な対抗措置も検討するとしている。


選挙広告は最低価格で放送枠を提供しなければならいないことになっているが、具体的な料金は秘密裏にされている。ちなみに、ロサンゼルス・タイムズ紙は4月の予備選挙中に共和党のミット・ロムニー候補がフィラデルフィアのローカル局KYWテレビに流した30CMの料金が1800㌦だったと報じている。


米調査会社SNLケーガンによれば、大統領選挙が絡む12年の選挙広告費はローカル局だけで約25億㌦になる見込み。広告業界調査会社のBorrell Associates (ボレル・アソシエーツ)では全媒体に費やされる選挙広告費総額は98億㌦に達すると予測している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>