CNNやTNTなど人気ケーブルテレビ局を中心とした放送部門、さらにはワーナー・ブラザースなど映画部門を傘下に置く米メディア・娯楽大手タイム・ワーナーの2012年1-3月期純利益は、複数年にわたり進められているリストラ策に伴う部門の廃止や売却損などが響き、前年同期比11%減となる5億8300万㌦だった。しかし、減少率は大方のアナリストの予想を下回るものでウォール街では好感されている模様だ。売上高は、映画部門や放送部門の好調さに支えられ前年同期比4.4%増となる69億8000万㌦を記録した。
タイム・ワーナーのCEO(最高経営責任者)ジェフリー・ビューケス氏は、決算発表に当たって、「TBSやTNTなどベーシック・チャンネル群が、特にNCAA(全米大学競技協会)主催のバスケットボール試合の中継番組が好調で記録的な視聴率を獲得したこと。かつて『ザ・ソプラノス 哀愁のマフィア』や『セックス・アンド・ザ・シティ』など数々の大ヒット作を放った有料チャンネルHBOの新作『Veep』(女性副大統領を扱ったドラマ)や『Girls』(20代前半の女性たちのニューヨーク生活を描いたコメディー)が健闘していることなどを挙げ、放送部門がグループ全体に大きく貢献していることを指摘した。
放送部門は、ケーブル局のほか、他局に販売しているドラマ・シンジケーション部門も好調だった。CBSネットワークに販売している『ビッグバンセオリー/ギークなボクらの恋愛法則』や『トゥー・アンド・ア・ハーフ・メン』が引き続き視聴率好調なことや、やはり同ネットワークに配信している新番組『2 Broke Girls』などもヒット作になっていることもあって、放送部門の同期売上高は前年同期比3%増となる36億200万㌦を記録した。営業利益は11億4300万㌦だった。
また、映画部門については、主に『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』や『ジャーニー2:ミステリアス・アイランド』の興行成績が貢献した。
一方、業績が芳しくなかったのが出版部門(タイム・インク)。雑誌などの講読数が2%減少したおかげで広告収入は5%減少。その結果、同部門の売上高は前年同期比3%減となる7億7300万㌦だった。
また、インドに展開していたエンターテイメント局「Imagine TV」が視聴者獲得に失敗、閉鎖を余儀なくさせられたほか、教育関連事業「QSP」の売却損など一時的費用も減益の大きな要因となった。