米Foxネットワークや米有力経済紙ウォールストリート・ジャーナルなどの親会社で米巨大メディア企業のニューズ・コーポレーションが2012年1-3月期の決算を報告した。傘下の英大衆紙に絡む盗聴問題の影響が懸念されていたが、純利益は前年同期比46.6%も増加となる9億3700万㌦を記録したほか、売上高も市場アナリストの予想を上回る同1.8%増84億㌦となった。
同社のCEO(最高経営責任者)であるルパート・マードック氏(写真・下)に対しては、英議会下院のメディア特別委員会から、世界各国に展開するメディア企業の経営責任者として「ふさわしくない」などと批判が出ていたが、決算報告に当たった同社COO(最高執行責任者)チェイス・ケリー氏は、「マードック氏は、最も賢明で先見の目をもったメディア・エクゼクティブの一人だ。私はもとよりニューズ・コーポレーション役員会から全幅の信頼が寄せられている」とコメントした。
同社の業績を牽引したのが、ケーブル局部門と映画部門。ケーブル局部門にはニュース専門局ナンバーワンのFoxニュース・チャンネルや若者に人気のFXが控えており、同期いずれも高視聴率を記録。営業利益は前年同期比15%増となる1億1100万㌦となった。
ネットワークテレビやローカル局などを抱える地上波テレビ部門の営業利益は前年同期比2100万㌦減少となる1億7100万㌦だった。前期と異なりスーパーボウル中継番組がなかったことや米テレビ界を代表するオーディション番組「アメリカン・アイドル」の視聴率に陰りが見えていることなどが災いした。ケリー氏は、アメリカン・アイドルについて、「視聴率はもう少し持ちこたえて欲しかったが、同番組がグループ全体にとって引き続き貴重な番組であることに変わりない」と述べ、来シーズン挽回への期待感をにじませた。
ケーブル局と地上波局を合わせた放送事業部門全体の売上高は35億8300万㌦、営業利益は6億7500万㌦に及んだ。
ケーブル局とともに貢献したのが映画部門。アカデミー賞脚色賞を受賞した『ファミリー・ツリー』や人気アニメ映画『アルビン/歌うシマリス3兄弟』などのヒット作のおかげで、売上高は10%増17億2200万㌦。営業利益も同10%増となる2億7200万㌦だった。
ウォールストリート・ジャーナル紙をはじめ英紙ザ・サンなどを含む出版部門の売上高は20億3000万㌦と前年同期比2.8%の減少となった。