
米娯楽・メディア企業グループ大手のウォルト・ディズニーはこのほど、2012年1-3月期の決算を発表、放送事業部門とテーマパーク部門の業績が好調だったため純利益は前年同期比21.3%増11億4000万㌦と大幅増益を記録した。売上高は同6.1%増の96億3000万㌦だった。
放送部門を見るとスポーツ専門局ESPN、子供向けチャンネルDisney Channel、ABC Family、そして若者向けDisney XDなどからなるケーブル局群がいたって好調。いずれも視聴率が向上したおかげで広告(CM)収入が増加した。同社の最高経営責任者(CEO)ロバート・アイズナー氏は決算発表にあたって特にESPNに触れ、「増益を生み出した最大の貢献者だ」と強調した。ESPNはNFL(プロ・フットボール・リーグ)主催の試合中継番組やNCAA(全米大学競技協会)主催のフットボール試合、さらにはNBA(米プロ・バスケットボール協会)の試合中継番組などキラー・コンテンツが豊富。各番組に高額CM料金を課しているほか、ケーブルテレビ(CATV)事業者などからは高額な番組送信料を得ている。
地上波直営局やネットワークテレビ(ABC)も、広告収入が好調だったほか、番組制作予算の削減効果も現れ営業利益は前年同期比37%増6200万㌦だった。なお、放送部門全体の売上高は同8.6%増46億9200万㌦。営業利益は同17%増となる17億2900万㌦だった。
また、放送部門とならんで好調だったのがテーマパーク・リゾート部門。カリフォルニア州にあるディズニー・ランド、フロリダ州にあるディズニー・ワールドともに入場数増加につれ、ビジターが利用した宿泊施設やレストランなどの売上高も増加した。東京ディズニー・ランドや香港のテーマパークも業績が回復し、同部門の営業利益は前年同期比53%増となる2億2200万㌦。売上高は同10%アップの28億9000万㌦だった。
一方、不調だったのが映画部門。特に巨額な制作予算をかけたSFファンタジー『ジョン・カーター』の興行成績が予想をはるかに下回ったことが大きな痛手となり、営業損失額は8400万㌦に達した。同部門の売上高は前年同期比12%減少となる11億8000万㌦に留まった。
また、消費者向け商品部門は、ミッキーマウスやミニーマウスをはじめ、映画『アベンジャーズ』などのキャラクター商品の売上が好調で、同部門の営業利益は前年同期比4.2%増となる1億4800万㌦。売上高は同8.5%増の6億7900万㌦だった。