米TV広告、新シーズンも好調

米テレビ各社が広告主に対し、9月から始まる米テレビ界新シーズンのプライムタイム(午後811時)番組編成発表とCMの予約販売を行う「アップフロント」交渉が5月中旬から順次始まった。若者のテレビ離れや番組のインターネット配信普及などでテレビの影響力に疑問を投げかける声があるなか、「やはり全国津々浦々に宣伝できる媒体はテレビ以外に見当たらない」と広告主が買いを入れた形だ。

 

さらなる新車販売に力を入れる自動車業界のCM買いが顕著で、「今年のアップフロントは自動車業界に牽引されている」(市場)。自動車業界のほかには消費者の財布の紐が緩んでいる傾向に勇気付けられる小売業界、さらには金融業界や通信業界の広告支出が活発になりそうだ。


地上波テレビ5大ネットワークをみると、視聴率が引き続き好調さを維持すると見られるCBSが同枠の番組で放送されるCM8割の予約販売を見込んでおり、売上高は昨シーズン比4%増となる28億㌦(金融機関大手クレディ・スイス)~同10%増29億㌦(金融大手バークレー)に達するという。

 

他社を見ても、安定した視聴率が期待されるABCでは76%のCM枠が売れそうで、売上高は同2%増24億㌦(クレディ・スイス)~同5.8%増37億㌦(バークレー)と推定されている。また、3大ネットワーク(ABCCBSNBC)よりもプライムタイム枠(午後810時)が1時間短いFoxが引き続き若者層の人気をひきつけることが予想され、77%のCM枠販売を見込んでいる。売上高は同2%増20億㌦(クレディ・スイス)~同2.1%減22億㌦(バークレー)ほど。

 

また、不振を続けるNBCCM枠の75%が取引されると見られており、売上高は昨シーズン同様17億㌦(クレディ・スイス)~1.4%増18億㌦(バークレー)とほぼ横ばいで推移する模様。さらに若者視聴者向けに特化されミニ・ネットワークCWでは大幅な編成替えが予定されていることへの不透明感もあり売上高は昨シーズン比1%減となる47700万㌦(クレディ・スイス)に留まる見込みだ。

 

5大ネットワークの合計売上高は低目に見積もっているクレディ・スイスの予測でも937700万㌦と、90億㌦台とされた昨シーズンを上回りそうだ。

 

ちなみに、アップフロントでは通常プライムタイム枠のCM78割が販売され、残りの23割はシーズン直前や途中に、より高額なレートで取引される「スキャーター」交渉に温存される。

<テレビ朝日アメリカ 北清>