アップフロントでは、9月から始まる米テレビ新シーズンのCM売買に加え、プライムタイム(午後8-11時)番組の新編成披露があった。地上波ネットワークテレビでは例年、デビューした番組の7割が及第点を取れず、シーズン途中あるいは1シーズンのみで打ち切られるという厳しい状況が待ち構えている。
そんな中、新シーズンの編成方針は、コメディー番組重視が目立っている。制作費が1本400-500万㌦かかるとされるドラマ番組に比べ、200万㌦ほどですむコメディー番組のほうがリスクが少ないという台所の事情もあるが、ABCの『モダン・ファミリー』やCBSの『2 Broke Girls』などが次々に高視聴率を稼ぎだす看板番組になっていて、各社が同ジャンルの番組に自信を深めていることが背景にありそうだ。
新シーズンに組み込められるコメディー番組は4大テレビネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)合わせて32本と前シーズンの17本を大きく上回る模様(AP通信)。ここ数年、プライムタイム番組のヒット作に恵まれないNBCでは新コメディー番組を4大ネットワークの中で最高となる7本をデビューさせ、続投される番組と合わせ13本のコメディー番組がプライムタイムを席巻する。複数のコメディー番組を並べる「コメディー・ブロック」が火曜日から3日間連夜で組み込まれるという。
他を見ても、ABCが新コメディーを5本、Foxも3本と各社コメディー重点編成が鮮明になっている。
また、各社、ライブテレビと呼ばれる生放送番組の編成に力を入れている。HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)やインターネット上の番組配信普及で、番組をリアルタイム視聴ではなく、「好きな時に視聴する」タイムシフト視聴数が増えていることに危機感を抱いている結果だ。生番組はタイムシフト視聴防止になるというデータが出ており、具体的にはスポーツ番組放送枠が拡大しそうだ。スポーツは広告主が重要視する視聴者層(18-49歳)に人気なことも手伝って、Foxでは土曜夜を「スポーツ・ブロック」とし、大学生フットボール試合中継番組などを中心にオール・スポーツ編成にするという。
ちなみに、米広告会社「ホライゾン・メディア」調査部門によれば、2012年におけるネットワーク番組のリアルタイム視聴数は14四半期連続で下降している一方、インターネットを使ったテレビ番組視聴数は前年比46%も増大している。