7月27日~8月12日に開催されるロンドン・オリンピック。米国内の独占放送権を握るNBCユニバーサル(NBCU)がこのほど、同五輪競技の放送時間が5535時間にも上る計画を発表した。4年前の夏季五輪、北京大会を2000時間も上回る膨大な放送時間だが、大部分がインターネット上の動画配信、いわゆる“ネット放送”となることが明らかになった。
NBCUは2年前の冬季五輪バンクーバ大会で、傘下の地上波テレビネットワークNBCがプライムタイム番組で放送した競技については放送終了までネット配信ではブラックアウトした。そのため、「結果が出ているのに映像を配信しないのは納得がいかない」などと苦情が殺到したという。今回はその経験を生かし、すべての競技をリアルタイムで配信するという。ネット放送は合計3500時間にも上る予定だ。
この大胆なネット配信についてNBCUは、「ネット配信してもプライムタイム視聴率に悪影響を与えないことが分かった上、かえってテレビ視聴者数の増大に役立つことが判明した」と説明している。
ただし、五輪競技のネット放送を視聴するためには、ペイテレビと呼ばれるケーブルテレビ(CATV)や衛星放送などが提供する番組送信サービスに加入していることが条件となる。加入者はペイテレビの口座番号をもとにパスワードなどを事前に入手しアクセスすることが出来る。
NBCUの経営権を握るコムキャスト社は全米最大のCATV事業者。CATV各社の間では特に若者加入者の間で加速している離反問題に対処するため、加入者にネット上の番組配信を提供する「TV Everywhere(どこでもテレビ)」サービスを展開する動きが広まっている。五輪ネット配信は「どこでもテレビ」サービスの一環だ。
NBCUではインターネットとNBCネットワークをはじめ、スポーツ専門局「NBC Sports Network」、さらにはニュース専門局「MSNBC」など数々のケーブル局を総動員する。NBCネットワークでの放送時間は272時間。NBC Sports Networkで257時間放送されるほか、MSNBCで178時間、ビジネス専門局CNBSが73 時間などとなっている。また、傘下の地上波スペイン語放送ネットワーク「Telemundo(テレムンド)」でも173時間にわたる五輪放送が予定されており、スペイン語放送では最多となる。
なお、IOC(国際オリンピック委員会)では五輪放送権を取得していないアジア・アフリカの64の国と地域に対し、動画サイト「ユーチューブ」を介し、2200時間相当の五輪ネット放送をする予定。