ABCがニュース専門局を立ち上げへ

4大ネットワークテレビ(ABCCBSFoxNBC)の一角ABCネットワークがスペイン語放送最大手Univision(ユニビジョン)と共同出資し24時間ニュース専門局を立ち上げることになった。両社首脳陣がこのほどニューヨークで記者会見し発表した(写真・右)。放送は英語で行われるという。ヒスパニック系(スペイン語を母国語にもつ中南米出身者やその子孫)市民の中でも、米国生まれの二世や三世など若い層をターゲットにする。

 

この層は家庭内などではスペイン語を話すものの、学校や友人などとは英語で話す層で、ニュース番組は英語で見たいと考える世代だ。ヒスパニック・コミュニティーで圧倒的な人気を誇るユニビジョンは同新世代への取り込みが企業戦略の重要な柱。一方ABCは長年に渡りニュース専門局を傘下に置き視聴者層の拡大を狙っていた。新局開設はそんな両者の思惑が一致した結果だ。


米調査会社ピュー・リサーチ・センターによれば、ユニビジョンのプライムタイム番組視聴者の平均年齢は36歳。それに対し、ABCネットワークの全国向け夕方ニュースの視聴者平均年齢は53歳。ABCでは新局を見てくれるヒスパニック系若者層を通じ、同社番組視聴者の若返りも狙っている模様だ。


しかし、新局構想の前途は多難だとする見方もある。ニュース専門局は、Foxニュース・チャンネル、MSNBCCNNなどとすでに乱立気味。しかも3チャンネル全体の視聴者数が下降気味にあるためだ。また、新局の立ち上げが今年実施される大統領選挙後となる来年にずれ込むことで、スタート時の視聴者獲得を考える上で不利なタイミングになる可能性もある。さらに、これまでにはないタイプの新局を広告主がどこまで支えてくれるのかという不安要素も指摘されている。

 

新チャンネルの名前や詳しい編成内容などが決まっていないが、ニュースのほか、若者ヒスパニック向けのライフスタイルや健康情報、さらにはエンターテイメント情報なども織り交ぜて放送したい考えだ。新チャンネルの放送開始は2013年中を目標にしている。

 

米国におけるヒスパニック人口は5000万人超と全体の16%を占め、マイノリティー・グループでは黒人を抜いてトップ。2050年までに総人口の30%を占めるまでに拡大すると見られている。そして、人口の増加にともない、同グループの購買力も2010年時1兆㌦から15年には1.5兆㌦にまで拡大すると推定されている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>