「番組はテレビで見る」が98%

米調査会社ニールセンがこのほど発表したテレビ視聴状況報告によると、20111012月期における月間平均視聴時間は153時間19分と、前年同期比46分減少していることが明らかになった。一日当たりのテレビ視聴時間は4時間35分。前年同期の4時間38分から3分減と減少幅は微々たるものだが、米国人のテレビ視聴習慣が確実に変わりつつあることを証明するものだ、などと指摘する向きもあるようだ。

 

テレビ視聴時間の減少が著しかったのが1217歳層。前年同期比5時間7分減少となる月間100時間50分となっており、同層を重要なターゲットの一つにしている広告主にとって気になる結果となった。


しかし、ニールセンは、「ビデオ(番組)視聴の98%がテレビを使ったもので、米市民がテレビ離れを起こしている兆候は見当たらない」と結論付けている。また、昨年新たに800万軒がHDTV(高精細度テレビ)を購入したことが分かり、米HDテレビ保有世帯数は8020万件に達したことも明らかになった。ニールセンではHDテレビの普及増加について、テレビが番組を見る際の圧倒的人気のプラットフォームであることが証明された結果だとしている。

 

ところで、HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)を利用したタイムシフト視聴時間が一日平均22分間(同期)と前年同期の20分間から増えているほか、ビデオゲーム機を利用した番組視聴時間が同13分と、前年同期の10分から着実に伸びていることも明らかになった。ゲーム機については普及率がテレビ世帯全体の半数近く(45%)とDVR世帯を上回り、「テレビ受像機に次ぐ番組視聴のための2番目のゲートウェイ(玄関口)に位置づけられるまでになった」としている。

 

一方、タブレット型情報端末などテレビ受像機以外を使った番組視聴時間が確実に伸びていることも分かった。スマートフォン(高機能携帯電話)を使った番組視聴も活発になっており、「スマートフォンを使って番組を見たことがある」と答えた人が前年同期比35.7%増となる3350万人に達した模様だ。インターネットを利用して番組を見た人は14740万人と同約600万人増えた。

 

ニールセンは、「番組を好きな時に好きな場所で視聴したいと考える消費者が急増しているおかげで、テレビ番組視聴の定義が変わりつつあることは明らかだ」と分析している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>