エンターテイメント部門を統括する新会社のCOO(最高執行責任者)には現ニューズ社のチェイス・ケリーCOOが就任するが、特に出版部門の新体制など詳細は今後数ヶ月の時間をかけ構築するという。なお、最終的な分割計画は米政府当局の承認が必要。
新聞社経営からスタートし、巨大メディア帝国を作り上げたマードック氏は、これまで新聞・出版部門の分離には反対の立場をとってきた。しかし、出版事業が収益性の高いエンターテイメント部門の足かせになってはならないとする社内外の意見に屈した格好だ。マードック氏は声明の中で、「分割によって、グループ傘下の事業運営の簡素化と戦略的優先順位をつけやすくなる」とリストラ計画をアピールした。
分割提案の背景には傘下の英大衆紙に関わる電話盗聴問題がある。ニューズ社は英衛星放送事業BスカイBの完全支配権取得を狙っていたが、電話盗聴事件をきっかけに英政府当局から「放送事業経営にはふさわしくない企業だ」などと批判を受けていた。そのため大事な放送事業を汚点を残した出版部門から切り離したいとの考えが働いた模様だ。
同グループのエンターテイメント部門には20世紀フォックスなど映画会社や地上波テレビ放送事業Foxネットワーク、さらにはFoxニュース・チャンネルやFXなどを中心としたケーブル局群がある。一方出版部門は米ウォールストリート・ジャーナル紙やニューヨーク・ポスト紙をはじめ英ザ・タイムス、豪ザ・オーストラリアンなど175紙に及ぶ新聞社、さらには書籍出版会社ハーパー・コリンスなどを傘下においている。
同社エンターテイメント部門の11年の営業利益は約46億㌦に達する一方で、出版部門の売上高は約8億6400万㌦に留まっており(ニューヨーク・タイムズ紙)、エンターテイメント部門がニューズ社の生命線になっている。