夏季五輪ロンドン大会(7月27日-8月12日)開催を間近にひかえ、米国内の独占放送権を保有するNBCユニバーサル(NBCU)は、五輪放送のCM売上高が10億㌦に達する見込みであることを発表した。NBCスポーツ・グループの営業担当専務セス・ウィンター氏がこのほど明らかにしたもので、前回08年北京で開催された夏季五輪時の広告収入を1億㌦上回る模様だ。ウィンター氏は、「売れ行きにとても満足している」と述べたほか、すべてのCM枠が完売する見込みであることを明らかにした。
米調査会社ミラー・タバクのアナリスト、デイビッド・ジョイス氏によれば、NBCUが国際オリンピック委員会(IOC)に支払ったロンドン五輪放送権料は11億8000万㌦。これに推定1億㌦の番組制作費がかかることから、最終的には1-2億㌦の赤字になるという。それでも、NBCU関係者は、「10年の冬季五輪バンクーバ大会では2億2300万㌦の赤字を計上したことを挙げ、「この程度の赤字なら回収できる」と楽観的だ。NBCUはロンドン大会以降の4五輪大会の放送権をすでに取得しているが、権料は1大会平均11億㌦とさらなる高騰がないものと見ていること。そして、将来的にはネット配信の広告収入も期待できることから、長期的にみれば五輪放送収入は黒字に転換すると見ているようだ。
NBCUは傘下の地上波テレビネットワーク、ケーブル局群さらにはインターネットを駆使し5535時間にものぼる五輪放送を予定しているが、このうちネット放送は合計3500時間に上る予定。プライムタイム(午後8-11時)で放送される番組の平均視聴者数は、「大成功」を収めた北京大会時の2770万人を超えるものとの期待がかかっている。
NBCUのロンドン大会五輪放送のスポンサー・リスト見ると、ファースト・フード大手「マクドナルド」、クレジット・カード大手「Visa」、世界最大の一般消費財メーカー「プロタクター&ギャンブル(P&G)」、通信大手「AT&T」、「コカコーラ」など常連組みが目立つほか、最近広告出稿に消極的な姿勢を示し始めている自動車メーカー「ゼネラル・モーターズ(GM)」と「BMW」も名を連ねている。そのほか、「五輪放送の視聴者は男女半々。最も広告主を探しやすいイベントの一つ(ウィンター氏)」ということもあり、ギリシャ・ヨーグルト・メーカ「チョバニ」など10数社の新スポンサーも登場するという。