P帯番組CM売上高は昨年比微増

米地上波テレビネットワーク各社が広告主に対し、9月から始まる新シーズンのプライムタイム(20:0023:00)で放送される番組内容の紹介とCMの予約販売を行う「アップフロント」交渉(524日既報)が6月中旬に終了した。CM売上高は当初予想されていたよりも低調に終わった模様だ。失業率がまだまだ高止まりの状態で景気低迷が続いているほか、大広告主である映画業界や自動車メーカー大手GM(ゼネラル・モーターズ)などがCM買いに慎重な姿勢を示したためだ。

 <写真:ニューヨークで開催されたABCアップフロント行事> 

 

5大ネットワーク(ABCCBSFoxNBCCW)はプライムタイム番組で放送されるCMの約80%の販売を見込んでいたが、米ミラー・タバク&カンパニーのアナリスト、デイビッド・ジョイス氏によれば77%ほどに留まったという。CM料金も昨年に比べ6%から9%増のレンジに落ち着いたようで、昨年獲得した二桁台には及ばなかった。ジョイス氏は5社の総売上高を昨年比4.1%増となる約96億㌦と推定している。

 

一方、売上高が昨年比ほぼ横ばいとなる約92億㌦に留まると見ている米調査会社SNLケーガン社では、「取引されたCM枠が昨年より少なかったことを鑑みればテレビネットワークにとって『力強いアップフロント』だった」と、前向きな評価をしている。

 

ミラー・タバク社による売上高(推計)を各社別で見ると、総世帯視聴率でトップに立っているCBSネットワークが昨年比3.8%増となる275000万㌦でトップ。これにプライムタイム枠が他社より毎晩1時間短いFoxネットワークが21億ドル。ABCネットワークが25億㌦、相変わらずプライムタイム番組が不振のNBC18億㌦、CW42000万㌦と続いた。

 

アップフロントで売れ残った2割強のCM枠については、「スキャター・マーケット」と呼ばれるシーズン直前あるいは開始直後に行われる交渉で取引されることになる。アップフロントを上回る高額料金が設定できると期待を寄せるネットワーク側が例年以上のCM枠を温存した形だが、この作戦が思惑通りに運ぶかどうかは今秋にかけての経済状況如何となりそうだ。

 

ちなみに、広告会社「ピュブリシス・グループ」傘下の「ゼニス・オプティメディア」では、今年の広告支出額は大統領選挙やロンドン五輪があることなどから前年比3.6%増となると予想してるが、来年は3.8%増とさらに拡大するとし、楽観的な見通しを示している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>