ニュース映像はユーチューブで

人気動画投稿サイト「ユーチューブ」がニュース映像入手元として活発に使われている。世界中の市民が、特に災害や事故などの映像を求めユーチューブを利用しており、東日本大震災関連の映像再生数は発生後1週間で9600万回に上ったことが分かった。米有力調査会社ピュー・リサーチ・センター傘下の非営利団体で米報道機関の分析や調査などにあたる「Project for Excellence in Journalism(優れたジャーナリズムのためのプロジェクト)」(以下、PEJ)が15ヶ月間(20111月-123月)の利用状況を分析した結果明らかになった。PEJは「ユーチューブがニュースを見るための重要なプラットフォームになった」と結論付けている。

 

再生回数の多さでは大震災関連映像が全体の5.4%1位。これにロシアの選挙が4.6%2位。中東で起きた大規模な反政府抗議活動「アラブの春」が4.2%3位。ニュースの種類では、災害関連映像が全体の19.6%を占め1位。これに政府関連13.8%、デモや騒乱関連9.2%、などと続いた。また、人物関連ニュースでは、オバマ米大統領が全体の4.2%でトップ。北朝鮮の故金正日総書記とロシア自由民主党のジリノフスキー党首が1.5%の同率で2位。これに米ポップス界の歌姫、故ホイットニー・ヒューストン(1.2%)などが続いた。


PEJの調査ではまた、大震災映像に加え、国際テロ組織アルカイダの指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者殺害作戦ニュース、米国で起きた衝撃的なオートバイ事故を捉えた映像などが相当な閲覧数を記録したことを受け、「通常は、(人々の関心は)エンターテイメント系の映像に人気が集中するが、ひとたび一大ニュースが起きればニュース映像に殺到する」と分析している。

 

また、ニュース映像の51%が報道機関によるものだが、素人による投稿映像も39%を占めており、ユーチューブで配信されるニュース映像に市民が重要な役割を果たしていることが分かる。ただ、市民が報道機関の映像を投稿するケースが全体の39%に上ることが分かっており、PEJでは、こうした投稿映像が、著作権や情報源の明確化に関する基準に満たないものが多い点を憂慮している。

 

ちなみに、映像が最も多く投稿された報道機関を見るとロシアのニュース専門局「RT(ロシア・トゥデー)」が全体の8.5%1位。続いて米ニュース専門局Foxニュース・チャンネルが3.5%、英BBC3.1%と続いたほか、NHKワールドが1.2%7位タイにランクされている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>