動画CM出稿量が急増中

インターネット配信されるテレビ番組などに挿入されている動画CMの視聴数が増えている。今年3月には米消費者が見た動画CM数が83億件に達し、月間初めて80億の大台に乗った(67日既報)。そのような人気につられて、動画CMに投入される広告費も急上昇しているようだ。

 

米調査会社eMarketer(イーマーケッター)がこのほど発表した調査結果によると、動画CMに費やされる広告費は昨年から一挙に40%増となる31億㌦に達する見込みだ。

 

そして、広告主のターゲットは主にスマートフォン(多機能携帯電話)に向けられているようだ。米調査会社BrightRoll(ブライト・ロール)によれば、動画CM出稿先としてタブレット型多機能携帯端末を挙げた広告主は全体の50%だったのに対し、スマートフォンを挙げた広告主は64%だった。ちなみに、テレビをインターネットに接続してコンテンツを視聴する「インターネット・テレビ」に対するCM出稿に興味を示した広告主は30%に留まった。米国ではインターネット・テレビ視聴を可能にする受像機(スマートテレビ)の普及速度が鈍く、広告主がその辺の事情を嗅ぎ取った結果とも言えそうだ。


また、広告主の30%が今年の広告予算の中で動画CMが最大の増加を示すと答えたほか、動画CMはテレビCMと同等あるいはそれ以上の効果があると考える広告主が64%にも上った。一方で、70%が、「さらなる動画CM出稿には動画視聴状況に関するより詳細な情報が必要だ」と慎重な態度ものぞかせている。

 

米国ではタブレットやスマートフォンを使った動画視聴に拍車がかかっているが、視聴時間も長くなっているのが特徴だ。米調査会社オヤラ社の調べでは、パソコンをはじめタブレットやスマートフォン上で10分以上の動画を視聴する消費者が20111012月期に利用者全体の57%だったものが、1213月期には88%と急増している。同人口は今後も増加の一途を辿る傾向にあるという。

 

さらに、オヤラ社の調査では、動画視聴は一日を通して断続的に行われているとともに、ディバイスが使い分けられていることも浮き彫りになった。タブレット経由の動画視聴カーブは平日、出勤前の朝に上昇し、勤務時間中は低下するがパソコンを使った動画視聴は勤務中に上昇する。そして、タブレット利用者の動画視聴は平日夜の就寝前に増えるが、週末は下降するという。広告主にとって動画CM出稿の際の貴重な情報になりそうだ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>