ロンドン五輪は大会日程の折り返し点を過ぎたが、米国内の独占放送権を握るNBCユニバーサル(NBCU)傘下のテレビ局が放送する五輪番組がいたって好調だ。特にNBCUの基幹局NBCネットワークのプライムタイムが予想を上回る視聴率を獲得している。当初2億㌦規模の赤字を計上すると見られていたが、黒字に転換する可能性も出てきた。
NBCネットワークの視聴率は、過去最高の視聴者数を獲得した開会式(7月31日既報)以降も好調で、開始後7日が経った時点でプライムタイム平均視聴者数が3000万人を超える日が6日間という人気ぶりだ。ちなみに、前回北京大会時は3000万人を越えた日は全日程のうちわずか5日だった。スーパースター、マイケル・フェルプス選手が登場した競泳と、女子体操個人総合で金メダルに輝いたガブリエル・ダグラス選手の競技の模様を放送した8月2日夜の番組の視聴者数は3680万人にも達し、木曜夜の番組としては2004年に人気コメディー番組『フレンズ』の最終回が打ち立てた記録(5250万人)につぐ高記録となった。
ロンドンは、米東部時間より5時間先行する時差があることから、NBCは、人気種目を中心にいったん競技の模様を収録しプライムタイムまで温存する徹底した録画中継編成を貫いている。「結果が出ているのに夜まで放送しないのはけしからん」などと不満や批判の声が一部出ているが、同編成方針が五輪熱に水を差す兆候はまったく見当たらないのが実情だ。
NBCスポーツ・グループのマーク・ラザラス会長は記者会見で、「まだ可能性は低いかもしれないが、今大会を黒字運営に転換できる見通しが立ってきた」と控えめなコメントをしている。NBCUではロンドン大会の独占放映権として国際五輪委員会(IOC)に対し約12億㌦を支払っているが、当初の見込みでは2億㌦の赤字を計上していた。しかし、NBCの予想を上回る人気ぶりに、新たなスポンサー希望が大会開始後も殺到、30秒CM枠に最高85万㌦の値がつく活況ぶりで、大方の市場関係者は黒字大会になると見ている。
また、プライムタイム以外にも昼間の五輪番組の視聴率が北京五輪比27%増、深夜帯も同24%増などと軒並み好調。広告主がターゲットにしている十代視聴者の視聴率が54%も増えており、NBCにとって吉報続きだ。
今大会はすべての競技をインターネットで生中継しているが、オンライン上の視聴数も北京五輪を54%上回る結果となっている。