米TW、映画・出版不調で減収減益

ワーナー・ブラザースなど映画部門やケーブル局群を中心としたテレビ部門、さらには出版部門などを傘下に置く米メディア・娯楽大手タイム・ワーナーがこのほど201246月期決算を発表した。それによると、特に映画部門と出版部門の不振に加え、インドとトルコからのテレビ事業の撤退費用が響き、売上高は前年同期比4%減少となる約67億㌦、純利益は33%42900万㌦だった。

 

「タイム」、「ピープル」、「スポーツ・イラストレイテッド」など21の雑誌を発行する出版部門を見ると、広告収入が前年同期比7%減少したことなどを受けて、同部門の売上高は同9%減となる88000万㌦、営業利益は同43%もの落ち込みとなる97000万㌦だった。決算報告にあたった同社のCEO(最高経営責任者)ジェフリー・ビューケス氏は難航する出版部門について、「出版事業に将来なしと考えるのはあまりにも了見の狭い考え方だ」としたうえで、「ピープルなどはタブレット型携帯端末上で光っている」と述べ、将来的にはデジタル配信に活路を見出すことができるとの考え方を示した。

 

テレビ部門を見ると、広告収入と番組配信収入が好調で、売上高は前年同期比4%増となる36億㌦に達した。しかし、インドの娯楽テレビ(イマジン・ネットワーク)とトルコのケーブル局(TNT)の撤退に加え、ドラマ番組の独自制作やスポーツ番組の放送権料など出費がかさみ、同部門の営業利益は同5%減少となる97400万㌦におわった。


ケーブル局群のかなめTNTNBA(米プロバスケットボール協会)主催の試合中継番組や、CBSネットワークが70年後半から放送し大ヒット・ドラマとなった『ダラス』の続編などが人気を呼びベーシック・チャンネルの中で人気ナンバーワンになるなど好調。懸念材料はニュース専門局CNNの視聴率低迷だ。ビューケス氏はCNNについて、「我々は客観的かつ大局的そして党派に属さないニュース・チャンネルに強い需要があると思っている。しかし、説得力のある、そして、人を引き付ける番組づくりに切り替えていかなければならない」と注文をつけた。CNNワールドワイドのジム・ウォールトン社長は今年いっぱいで更迭されることが発表されている。

 

映画部門は昨年同期に大ヒットした『ハングオーバー2:史上最悪の二日酔い、国境を越える』に匹敵する作品がなく、売上高は前年同期比8%減の26億㌦だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>