CBSは減収増益、バイアコムは減収減益

地上波テレビネットワークCBSや有料チャンネルShowtime、さらには屋外広告企業CBS Outdoorなどを傘下に置くCBSコーポレーションがこのほど発表した201246月期決算は、主にCBSネットワークの広告収入が減少したことなどから売上高は前年同期比3%減となる348000万㌦だった。ただ、純利益は、ペイテレビと呼ばれるケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者などから得た番組配信料収入が好調に推移したおかげで、市場の予測を上回る同8%増となる42700万㌦となった。

 

CBSネットワークの売上は、例年4月に開催されていたNCAA(全米大学競技協会)主催の人気バスケットボール試合の決勝ラウンドが3月に繰り上げられたことが大きな痛手となり同7%減少となる17億㌦だった。CBSは同決勝ラウンドの独占放送権を保有している。また、前年同期には、ネットフリックスやアマゾンなどオンライン番組配信会社向けの番組デジタル配信販売があったが、今季はそれに見合う大型契約などがなかったことも一因となった。


他部門をみると、CBS Outdoorの売上高は同1.8%減となる48100万㌦。有料チャンネルShowtimeを中心としたケーブル局部門の売上高は8%増となる44600万㌦。出版部門(サイモン&シャスター)は前年同期比3%18900万㌦を記録した。

 

一方、6年前にCBSと分離されたバイアコム社の同期売上高は、映画部門(パラマウント映画)とケーブル局部門の不振から前年同期比14%減となる324000万㌦、純利益も同7%53400万㌦だった。


同社の屋台骨的存在になっているテレビ部門は、子ども向け人気チャンネル、ニコロデオンや若者に人気のコメディー・セントラルやMTVなどのケーブル局群を抱えているが、売上高は同5%減少となる227000万㌦に終わった。看板局の一つであるニコロデオンの視聴率が相変わらず低迷していることが大きく影響し、テレビ部門全体の米国内における広告収入は前年同期比7%の落ち込みを示した。バイアコムのCEOフィリップ・ダウマン氏は、決算報告にあたって、ニコロデオン単独14本の新番組を投入することなどを発表、抜本的な番組編成改善策を取って行く方針を明らかにした。


映画部門は、前年同期の『カンフー・パンダ2』や『スーパーエイト』などに匹敵するヒット作が皆無で、売上高は同29%減となる10100万㌦だった。なお海外市場における映画部門の売上高も52%の落ち込みをみせ、売上高は28300万㌦に留まった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>