米ニューズ、人気番組不振などで減収減益

地上波テレビ放送Foxネットワークや経済紙ウォールストリート・ジャーナル、さらには映画会社20世紀フォックスなどを傘下に置くメディア・娯楽大手ニューズ・コーポレーションがこのほど発表した201246月期決算は、人気番組の視聴率低下や出版部門の評価損などが要因となり、純損益が155300万㌦の赤字となった。売上高は前年同期比7%減少となる837000万㌦だった。

 

減益の大きな要因となった出版部門は英大衆紙で起きた盗聴事件に関する費用が5700万㌦に達したほか、オーストラリアの新聞社を中心としたリストラ関連経費が約29億㌦にも上った。同部門の営業利益は前年同期比48.5%もの減少となる13900万㌦だった。

 

同社では今年6月に、会社を放送・映画などからなる娯楽部門と、新聞・書籍からなる出版部門の2つの上場会社に分割することを決定、1年以内の実現を目指している。ニューズの社長兼最高執行責任者(COO)チェイス・ケリー氏は、決算報告にあたり、「分割後はそれぞれの分門のより鮮明な運営や経営戦略構築が可能となる」と強調した。同部門では基幹紙であるウォールストリート・ジャーナルも含め、今後さらなる人員削減が決行される見通しだ。


映画部門は、大型サイエンス・フィクション映画『プロメテウス』の制作費や宣伝費などがかさみ、営業利益は43%も減少となる12000万㌦におわった。


放送部門は、ニュース専門局「Foxニュース・チャンネル」や若者向け専門局「FX」が広告収入及びケーブルテレビ(CATV)事業者や衛星放送などから得る番組配信収入が好調で、ケーブル局部門の営業利益は前年同期比26%79200万㌦を計上した。番組配信収入は国内が前年同期比16%増、海外も31%増の売上をあげており、グループ全体にとって重要な収入源になっている。海外配信は、アジアと中南米からの売上が45%を占めるほどの成長ぶりを示している。


一方、看板番組『アメリカン・アイドル』の視聴率低下にともなう広告収入の減少が影響し地上波テレビ放送Foxネットワークの営業利益は同2000万㌦減となる21300万㌦だった。


ニューズ・コーポレーションの会計年度は631日に終わったが、通期売上高はケーブル局や映画部門が健闘したものの、出版部門の広告収入減などが響き前年度比1%増となる337億ドルに留まった。純利益は前年度の27億㌦から12億㌦と大きく落ち込む減益となった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>