米国でインターネット上で配信されるテレビ番組などに挿入されているCM(以下、オンラインCM)の視聴率がことのほか高く、広告主の注目を集めている。オンライン上のビデオ広告のマネージメントなどに当たるコンサルティング会社「FreeWheel(フリーウィール)」がこのほど発表した2012年4-6月期における米消費者のオンラインビデオ視聴状況によれば、オンラインCMを「全編見ると」答えた人は全体の91%にも上っている。前年同期は81%だった。
「オンラインCMは見ない」と答えた人は9%に留まっており、2011-12年シーズン中にテレビ局が放送した「テレビCM」を飛ばし視聴したと答えた人13.5%(ニールセン調べ)を大幅に下回っていることも分かった。
また、典型的なオンラインCMは、番組の冒頭に挿入される例が圧倒的に多いが、飛ばし視聴は出来ないものの、長さが30秒などとテレビCMに比べ極端に短いため、若者ユーザーなどからは「ほとんど(視聴が)苦にならない」などと、好評だ。
また、同社の調べでは、番組などに挿入されるオンラインCMは番組途中に数回挿入されるテレビ型が全体の三分の一を占めるまでになっており、これまで圧倒的に多かった冒頭型に迫る勢いだという。ちなみに、現在、20分以上の長編コンテンツに挿入されるオンラインCM数は平均8回と、11年1-3月期の平均3回から大幅に増えている。長さが5-20分の中編コンテンツには、平均1.3回と11年1-3月期の0.75回からさほど増えていないほか、5分以下の短編コンテンツには0.56回と1年前とほぼ同数のオンラインCMが挿入されている。
また、オンラインCMは番組全編版など、コンテンツが長いほど良く見られていることも分かった。スポーツ・イベントのハイライト版やミュージック・ビデオなどの短編動画に挿入されるオンラインCMは「見たくない」と答えた人は69%と前年同期の59%から増えている。
ところで、今回の調査結果では、インターネット上の動画コンテンツを視聴するツールとして、タブロイド型情報端末やスマートフォン(多機能携帯電話)を利用する消費者が急増していることも分かった。パソコンを利用する消費者が引き続き大半を占めているが、携帯端末の利用者が全体の8.2%と、11年第1四半期から倍増しているのが特筆される。
同社ではロンドン五輪のおかげで7-9月期における携帯端末を利用した動画視聴はさらに増えるものと見込んでいる。