新シーズン、番組出演料は下降傾向

米テレビ界は9月中旬から新シーズンが始まるが、俳優の番組出演料が値下がり傾向にあるようだ。米テレビ業界誌「テレビガイド」が毎年実施する調査で明らかになったもので、景気低迷などを背景にネットワークテレビ経営者が俳優との契約交渉に強気の姿勢で臨んでいるためだ。


また、映画界の影響も大きいようだ。ハリウッドでは興行収入の多い海外市場を意識したアクション・スリラー映画の制作が主流になっているが、制作費が高額のため出演料の高い俳優の起用を控えているという。そのため、映画出演のチャンスを失った俳優がテレビに舞台を振り替えようと、ちょっとした需要過多になっているようだ。

 

23年前なら番組(ドラマ)1本当たり7万㌦のギャラを受け取っていた中級レベルの俳優が新シーズンでは56万㌦に落ち込んでいる模様だ。主役級でも125000㌦以上を受け取る俳優は数少ないという。それでも米テレビ界を代表するヒット番組の主役などは1本当たりの出演料が3550万㌦と米テレビの底力を見せ付けている。


出演料を番組ジャンル別に見ると、ドラマの最高額はCBSネットワークの長寿番組『NCIS:ネイビー犯罪捜査班』の主役、マーク・ハーモン(写真・左上)の50万㌦(1本当たり)。これにNBCネットワークの人気ドラマ『ロー&オーダー:性犯罪特捜班』で刑事役を演じるマリスカ・ハージティの385000㌦、ABCネットワークの人気医療ドラマ『グレイーズ・アナトミー:恋の解剖学』の主演者グループがそれぞれ35万㌦などと続いている。

 

コメディー番組では、NBCの『30ロック』主役のアレック・ボールドウィンが1本当たり30万㌦のギャラを得ているほか、Foxネットワークの人気アニメ番組『シンプソンズ』の声優ダン・キャステラネタが同じく30万㌦。このほかCBSの『ビッグバン★セオリー、ギークなボクらの恋愛法則』や『Two and a Half Men』などの出演者が軒並み30万㌦の報酬を得ている。


一方、報道・情報番組の出演者を見ると、稼ぎ頭筆頭はNBCの朝の情報番組『Today』のメイン・キャスターを務めるマット・ラワー(写真・右)で年俸推定2150万㌦。これに、ニュース専門局Foxニュース・チャンネルのプラムタイム・トーク番組の司会者ビル・オライリーの同1500万㌦。NBCが全国向けに放送する夕方ニュースのメイン・キャスター、ブライアン・ウィリアムズの同1300万㌦などとなっている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>