米国の大統領選挙は11月6日に行われるが、与党民主党と野党共和党の候補を正式に指名する党大会が共和党につづき民主党と、2週連続で開催された。両党大会では正副大統領の指名受託演説など重要イベントすべてをテレビのプライムタイムに合わせて組み、その模様は地上波テレビを始めケーブル局などが一斉に全国向けに中継した。両大会とも3日間の日程で開催されたが視聴者数を見ると、民主党に軍配が上がった。
最多視聴者数を獲得したのがノースカロライナ州シャーロット市で開かれた民主党大会の最終日(9月6日)に行われたオバマ大統領の指名受託演説。合計視聴者数は3570万人に達し、フロリダ州タンパ市で開催された共和党大会で指名受託演説(8月30日)に立ったミット・ロムニー候補の3030万人を大きく上回った。ただし、オバマ大統領の演説は4年前に初の受託演説をしたときの4000万人強には遠く及ばなかった。
特筆すべきは、民主党大会の2日目(9月5日)に登場したクリントン元大統領のオバマ大統領支持演説に2510万人が聞き入ったことだ。NBCネットワークは同夜、党大会中継はせず、米テレビ界昨シーズン人気ナンバーワン番組としてランクされたNFL(米プロフットボール・リーグ)中継番組『サンデーナイト・フットボール』の開幕戦を放送したが、視聴者数は2390万人に留まり、クリントン演説に敗北という形になった。
ちなみに、クリントン演説が獲得した視聴者数は地上波テレビネットワークであるABC、CBSとPBS(公共放送)及びニュース専門局MSNBC、CNN、Foxニュース・チャンネルなどを合わせたもの。個別で見るとABCネットワークが視聴者数459万人でトップ。これにCBSの441万人、MSNBCの439万人などと続いた。クリントン氏は大統領退任後11年半以上たった今も幅広い層から支持されており、再選を目指すオバマ陣営の“秘密兵器”あるいは“切り札”などと期待が寄せられている。
その他両党大会で高視聴率を得たのは、ファーストレディーとして圧倒的な人気のオバマ夫人による夫への再選支持を訴える演説があった9月4日で平均視聴者数が2620万人、共和党の副大統領候補に指名されたポール・ライアン氏の演説があった8月29日の2190万人などとなっている。両党の3日間のプライムタイム平均視聴者数は、民主党が2900万人に対し、共和党は2480万人だった。