2012年の1-3月期における米消費者の一日当たりのテレビ視聴時間が4時間38分と、前年同期の4時間47分から9分間減っていることが明らかになった。米国で視聴率調査などにあたるニールセン社が発表した。過去4年間を見ると、08年同期の4時間46分から09年同期は4時間47分、10年同期には4時間49分と微増を続けたあと、11年同期以降わずかながらも下降線を描いている。
一方、HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)を使ったタイムシフト視聴時間は、08年同期の12分から、09年同期16分、10年同期19分、11年同期21分に続き12年同期には24分と、緩やかながらも上昇カーブを描いている。これらの傾向を受けて、「米消費者によるテレビ離れが進んでいることが明確になった」などとする声が上がっている。
しかし、その一方で、「減ったといってもたった数分間。テレビ視聴が米消費者の生活時間に圧倒的な地位を占めていることに変わりない」(広告業界誌、アドバタイジング・エイジ)などとする見方も出ている。
テレビ視聴習慣については年齢別に違いがあることも浮き彫りになっている。テレビ好きなのが65歳以上のシニア市民で、一週間当たりのテレビ視聴時間は48時間にも上る。同層のDVR視聴時間は1時間54分だった。これに対し、35-49歳層を見ると、テレビ視聴時間が同35時間とシニア層を大きく下回るが、逆にDVR視聴時間は3時間半と大幅に上回っている。
同調査では、テレビ受像機以外を使ったビデオ視聴時間が1週間当たり35時間に達したことも分かった。内訳はインターネット上で配信された画像の視聴時間が約5時間。ビデオゲーム機を使ったネット配信ビデオの視聴時間が同2時間48分とビデオゲームそのものの利用時間1時間38分を大きく上回っているのが特徴だ。
ニールセンではテレビ番組をテレビ受像機で視聴する従来型のテレビ視聴に変化が起きていることを指摘しているが、特にアップル社のアイパッドに代表されるタブレット型情報端末機が受像機の代役を務めてるようになっている傾向に注目している。同社によればタブレットの普及率は米テレビ世帯の15%にまで達している。
そして、タブレット以外にも高機能携帯電話(スマートフォン)を利用したテレビ番組などの視聴にも拍車がかかっている。スマートフォンを使って動画を視聴している消費者は3600万人にも及んでいるという。