米国では消費者の関心を掴みきれない3D(3次元)対応テレビだが、10年後には米テレビ世帯の約半数が同型テレビを保有する。そんな推計を米有力調査会社SNLケーガンがこのほど発表した。同社によれば、今年の3Dテレビのシェアは1億1760万世帯といわれるテレビ世帯全体の5.4%に留まるが、5年後の17年には24%と約5倍増、10年後の22年には米テレビ世帯の50.4%が3D テレビを保有することになるという。残りの49.6%はHD(高精細)テレビ世帯。
3Dテレビの普及の遅れの背景には、景気低迷が続く中、贅沢な商品購入を控える消費者が多い上、3Dテレビで是非見たいと思うコンテンツ(番組)が決定的に不足していること、さらには3D 画像視聴に着用しなければならない専用メガネが敬遠されていること、などが挙げられている。
しかし、SNLケーガンでは、10年には2000-3000㌦だった3Dテレビの平均価格が5-10年後には1000㌦以下に値下がりすること、米メディア企業大手ウォルル・ディズニーなどが3D番組の制作に積極的に取り組む姿勢を示していること、また番組送信にあたるケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者などが3Dチャンネルの増設計画を発表していること、などが3D普及に拍車をかけるものと予測している。
HDテレビ保有世帯が新しいテレビに買い替える時期が近づいていて、3D機能を備えた次世代HDテレビを購入する消費者が増えることも3Dテレビ普及の大きな追い風になるという。
同調査ではまたインターネット接続が可能なインターネットTVの急速な普及も予測している。現在、BD(ブルーレイ・ディスク)レコーダーなど、何らかの付属品を接続してインターネットに接続できるテレビを保有している世帯は全体の35.4%に相当する4160万世帯に上るとされているが、16年までに全体の70%、20年までには全体の83.7%の家庭でテレビにネットを取り込める態勢が整う見込みだ。
さらに同社では今後、3DテレビやHDテレビの新型モデルにインターネット接続機能はもとより内蔵カメラなどが標準装備されるようになると予測しており、テレビを使ったビデオ通話はもとよりフェイスブックなどソーシャルメディアを取り込んだ双方向通信が手軽に出来るようになるとしている。
一方、02年時点にはTV世帯全体の96.4%がアナログテレビを保有していたが、07年に56.7%に減少。12年は1.3%に急減するうえ、5年後にはすっかり姿を消すことになると予測している。