CNN社長の後任選びが活発化

米ニュース専門局の元祖CNNテレビの上部組織CNNワールドワイドのジム・ウォルトン社長(54)(写真・右下)が今年いっぱいで退任する予定だが(727日号既報)、活発な後任選びが水面下で進んでいる模様だ。来る116日の大統領選挙前に決まる可能性もあるという。ニューヨーク・ポスト紙がこのほど報じたもので、人選についてはCNNの親会社タイムワーナー(TW)傘下の放送部門を統括するターナー・ブロードキャスティングのフィル・ケント社長が中心となって進められている。TWの最高経営責任者(CEO)ジェフリー・ビューケス氏も直接かかわっているほか、傘下の有料チャンネルHBOのリチャード・プレプラー社長なども加わり、グループ全体で後任探しに当たっている模様だ。

 

同紙によれば、CNN内部からはFoxニュース・チャンネル(FNC)を揺ぎ無いニュース専門局ナンバーワンの座に導いたロジャー・アイル氏のような強力なリーダー待望論が高まっており、後任候補のリストには、ハワード・ストリンガー前ソニー社長やNBCユニバーサルの前CEOジェフ・ザッカー氏、さらにはNBCニュースの元社長ニール・シャピロ氏やABCニュース前社長のデイビッド・ウェスティン氏など米メディア界の大物が名を連ねているという。ちなみに、ストリンガー氏は実業家として知られるが、ソニー社長就任前にCBSニュースやCBSネットワークの社長を歴任、ジャーナリストやメディア企業経営者としての手腕も高く評価されている。


CNNはウォルトン氏退任のきっかけとなった視聴率低迷傾向に歯止めがかからない状況が続いている。保守的・左派的イデオロギーを鮮明にしているFNCMSNBCの前に影が薄くなっているのが現状で、中道派を貫こうとするCNNに対しては、「退屈極まりない」などと批判が集まっている。

 

201279月期における視聴率は広告主がニュース専門局の成功度を計る2554歳層で前年同期比14%も落ち込んでいるのが現状だ。同期はロンドン五輪や米大統領選挙戦など本来ならば視聴率上昇につながるイベントがあり、後発のMSNBCの視聴率は同10%増を示している。TW首脳陣の失望感は広がるばかりで、TWのビューケスCEOは最近ニューヨークで開かれた投資銀行との会合で、「CNNを再活性化させるための作業に当たっていることはこれまでにも何度も表明してきたが、現在、本当に懸命に取り組んでいる」と決意のほどを語っている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>