世界屈指の広告会社「ピュブリシス・グループ」傘下の代理店「ゼニスオプティメディア」はこのほど、2012年における世界の広告費の伸び率を前年比3.8%に下方修正した。今年6月には4.3%増と予測していたが、ユーロ圏における経済弱体化が要因となり広告支出額が減少すると見ているためだ。しかし、来年以降は回復に向かうと見ており、同社の予測では13年には前年比4.6%増、14年には同5.2%増を見込んでいる。
一方、米国の12年広告支出については今年6月に前年比3.6%増としていたものを4.3%増と上方修正し楽観的な予報を示した。7月に開催されたロンドン五輪や大統領選挙が牽引車となるが、特に記録的な規模となりそうな選挙CMのインパクトが大きいようだ。12年における選挙関連広告費は前回大統領選挙のあった08年を68%も上回るペースとなる25-26億㌦が投入されるという情報もある。さらに、自動車業界の積極的な広告支出も加わり、12年の米テレビ広告費は前年度比7%増となる621億㌦を見込んでいる。なお同社では米テレビ広告費については、13年、14年にかけても同率で増加し続けると見ている。
テレビ広告の中身を見てみると、ローカル局とケーブル局の勢いが鮮明だ。地上波ネットワークテレビ向けの12年広告支出は前年比1%増に留まる172億㌦なのに対し、ローカル局の広告費は同12%増となる230億㌦、ケーブル局は同8%増200億㌦に達する見込みだ。
テレビ以外の媒体を見ると、相変わらずインターネット広告が驚異的な伸びを示すことになりそうだ。12年支出額は前年比17.9%増となる306億㌦を見込んでいるが、来年以降も13年に18%増、14年も18.2%増と勢いが持続すると見ている。インターネット広告の一つオンライン・ビデオ広告を見ると、12年の支出額は40億㌦ほどと規模は小さいものの、前年比29%増と群を抜いた上昇率を誇っている。13年も29%増、14年には27%増と高レベルを保ちながら推移していく模様だ。オンライン・ビデオ広告は昨今人気急上昇中のテレビ番組や映画などのネット配信コンテンツに挿入されるテレビCM型の広告だ。(表:単位、百万㌦)
他媒体の12年広告費を見ると、新聞が前年比8%減少となる250億㌦、雑誌が同3%減181億㌦、ラジオは2%増となる167億㌦、屋外広告は4.3%増76億㌦などとなっている。ちなみに、新聞については13年、14年両年とも前年比8%減となりそうで、下降線カーブを描き続けることになりそうだ。