米大リーグ(MLB)はこのほど地上波テレビネットワークFoxとタイムワーナー傘下のケーブル局ターナー・ブロードキャスティングとの間で2014年から21年までの8年間にわたる新たな放映権契約を締結した。ブルームバーグ社によればMLBが両社から得る放映権料は総額68億㌦。MLBは今年8月、ウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局ESPNとの間に同期間合計56億㌦に上る新放映権契約を結んだばかり。MBLは14年から8年間にわたり現行契約の一挙倍額となる合計124億㌦の放映権を獲得、「MLBは満塁本塁打を打った!」(LAタイムズ紙)などの声が挙がっている。
新契約のもとFoxネットワークは21年まで、ワールドシリーズをはじめオールスター・ゲームの独占放送権を保有するほか、ナショナル・リーグ及びアメリカン・リーグのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズを交互に独占放送する権利を獲得した。このほか、Foxが13年中の立ち上げを決定しているスポーツ専門局がレギュラー戦40ゲームの全国向け放送を確保したほか、ハイライト版放送の拡大も可能になる模様。FoxがMLBに対し支払う放映権料は年間5億2500万㌦に達する模様だ。
一方、ターナー・ブロードキャスティングには、Foxが放送しないいずれかのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズと2地区予選シリーズ、さらにワイルド・カード戦1試合の独占放送が認められる。同社の放映権料は年間平均約3億2500万㌦。
Fox・ターナー両社に先行するかたちで新契約に調印したESPNは、レギュラー戦90試合を月曜日、水曜日、日曜日の野球中継番組で放送できるようになるほか、1ワイルド・カード戦、1プレーオフ戦の放映権も獲得した。また、新契約に調印した3社にはインターネット配信権も付託した。ただし、ネット配信へのアクセスにはケーブルテレビ(CATV)事業者や衛星放送事業者など特定のペイテレビ・サービスに加入していることが条件となる間接有料型になる。
ところで今回のMLB新契約には、中小規模のペイテレビ事業者を代表する「アメリカン・ケーブル・アソシエーション(ACA)」から、「制御不能の取引」などと批判の声が上がっている。「高騰する放映権料の元をとろうと放送事業者はペイテレビに送信料の値上げを求めることは必至。となればペイテレビは加入料値上げを余儀なくされ、結果的には消費者に付けが廻ることは必至だ」と、警告している。