米TV新シーズン、NBCが出足好調

米テレビ新シーズンは9月中旬以降、各地上波ネットワークテレビが新編成を組み順次始まった。4大ネットワーク(ABCCBSFoxNBC)をみると、総体的には勢いに欠けるが、ここ数年プライムタイム番組が不調で苦境に陥っているNBCが久方ぶりに好調なスタートを切ったことが特筆される。同ネットワークはシーズン前半だけで合計6本の新番組を投入したがJ.J.エイブラムス監督が手がける大型サイファイ(Sci-Fi)ドラマ『Revolution(レボルーション)』やコメディー番組『Go On(ゴー・オン)』『The New Normal(ザ・ニュー・ノーマル)』が健闘したほか、米テレビ界を代表する人気シリーズとなっているアメフト中継番組『サンデーナイト・フットボール』やオーディション番組『Voice(ヴォイス)』が今季も引き続き好調で、9年ぶりとなる新シーズン第1週の週間視聴率王の座を手にした。

NBCに続いたのがFox。オーディション番組『The X Factor(ザ・Xファクター)』や長寿アニメ番組『ザ・シンプソンズ』、さらに昨シーズン登場し一躍ヒット作となったコメディー『New Girl(ニュー・ガール)』が大きく寄与した。3位となったCBSは、同ネットワークを代表するコメディー『ビッグバンセオリー ギークなボクらの恋愛法則』や犯罪捜査ドラマ『NCIS -ネイビー犯罪捜査班』のベテラン番組に加え、昨シーズン登場したコメディー『2 Broke Girls(ツー・ブローク・ガールズ)』が相変わらず人気だ。オープニング週最下位に甘んじたABCは、アメフト中継番組の放送権がない唯一のネットワーク。エミー賞に輝くコメディー『モダン・ファミリー』や医療ドラマ『グレイズ・アナトミー:恋の解剖学』が大健闘したもの、期待をこめてデビューさせた大型ドラマ『666 Park Avenue666パークアベニュー)』、『Last Resort(ラスト・リゾート)』がイマイチのスタートだった。

 

ところで新シーズン序盤の特徴は、HDD内蔵型デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)を使ったタイムシフト視聴がより活発になっていることだ。DVR普及率は46%とされているが、広告主が重要視する1849歳層では51%に達していて、プライムタイム番組の視聴者の20%が「好きな時に視聴する」タイムシフト視聴で番組を見るようになっている。そのため、番組の人気度を計る尺度には放送後3日間のDVR視聴率を含むことが業界の基準になりつつあるようだ。ちなみに、NBCの『レボルーション』のDVR視聴者数は370万人と放送日視聴者の41%にも相当するという。

<テレビ朝日アメリカ 北清>